シュタイナー教育「光こども園」 幼児期に感覚を育てる

美しい田園風景が広がる松川村にある一般社団法人シュタイナー療育センターは、シュタイナー治療教育を実践する「光こども園」、同法人職員の子どもや地域の子どもを保育する「シュタイナー保育園星の光」、就労継続支援B型事業所「森の工房」などを運営しています。代表理事の森尾敦子さんに、「光こども園」について話を聞きました。

個性を生かす適した配慮

-シュタイナー教育とは
「オーストリア出身の思想家で哲学者のルドルフ・シュタイナー(1861~1925年)の人間観に基づいた教育メソッドの総称です。一番の特長は、幼児期にさまざまな体験をさせて感覚を育てること。早期教育の真逆のものといえます」
-どんな園ですか
「療育というと1週間に1度、1カ月に何回というイメージを持つかもしれませんが、ここは月~金曜の週5日通います。現在は2歳からの幼児クラスに15人、親子クラス(週1回)は0歳からの子どもと保護者3組が通っています。家庭的な雰囲気の中、バランスを保ちながら医療と教育を並行して進めています。それにより体の筋力が付き、体の使い方が上手になる。幼児期はその効果が顕著です」
「『スペシャルなニーズの子どもたち』のために、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、保育士、医師が組んで一人一人に合う療育をしています。給食やおやつも栄養や個々の食べる力を考えた手作りです。しっかり食べると遊びが積極的になります」
-特長は
「月曜日はバナナヨーグルト作り、火曜日は粉引きなど曜日ごと朝に行うスケジュールを決めています。その理由は、文字や言葉(知的なもの)で曜日を教えるのではなく、『バナナがあるから月曜日』と感じることを大切にしているからです」
「木曜日はパン作りです。先生が手本を見せた後に子どもたちが続くという形ではなく、例えば生地をこねる作業なら一緒に始め、先生の様子を見ながらまねるような感じです。説明を聞く時間がないから楽しいんですね。それが幼児の本性と捉えています。『パンの焼ける匂い=木曜日』です」
「子ども時代に思いきり遊ぶと、人生に対して意欲的になります。誰かに言われてやるのではなく、楽しいからやるという感覚をたくさん体感することが大切です」
「文字や概念を先に教えると、例えば曲がった枝を見つけたときに『くの字だ』という子が多いのではないでしょうか。でも文字を知らないと、身近にあるドライヤーに見立てる子もいる。そこから遊びが生まれます」
「見立て遊びやファンタジーはすごく大事です。これを子ども時代にしておくと発想力や想像力が広がり、生きる力につながると思います」
-障がいについて
「検診などで『発達がゆっくりだ』と言われたり、受診を勧められたりするとショックは大きいと思います。親にとってはわが子に発達の問題があるとは思えず、『時間がたてば-』とか『この子が頑張れば-』といった考え方をするのはもっともです」
「でも、発達上の問題を指摘された場合は、ショックを受けつつもできるだけ早く療育を始めましょう。療育を受け、適した配慮が受けられると子どもは伸びていきます」
「人生はできる、できないではなく、『できてもできなくても努力していく道』だと思います。それは障がいの有無に関係ありません。それぞれの個性を生かして、その人らしく生きていくことだと思います」

プロフィル
【もりお・あつこ】保育士。ドイツでシュタイナー幼児教育を学んだ後、保護者と共に横浜シュタイナーこどもの園(横浜市)を設立。娘に重度の障がいがあることをきっかけに再渡独、シュタイナー治療教育とソーシャルセラピーを学ぶ。2011年一般社団法人シュタイナー療育センターを設立。