奈良井宿「土-とおいち」 木曽の暮らしや良品文化発信

作家支援し宿場町のファン増やしたい

木曽地域で活動する工芸作家や職人の支援に取り組む一般社団法人「生活民芸舎」が、塩尻市の奈良井宿に作品を展示販売する店「土-とおいち」を開いた。代表の佐藤あゆさん(28)は、市の地域おこし協力隊員を務めたのを機に、漆器産地の木曽平沢に移住。感銘を受けた木曽の暮らしや、良品文化を発信している。

客と作家をつなぐ場所でも

店は、奈良井宿の「横水の水場」隣にある古民家の1階を改装し、広さ57平方メートル。木曽路の宿場町で制作活動する木工や鍛金、ガラスなど11人の作品を扱う「木曽の逸品棚」と、展示室「トオイチギャラリー」を設け、4月に開店した。
店名は、作品が土に返る自然素材で作られていること、贄川宿(同市)から馬籠宿(岐阜県中津川市)まで木曽路に「十一」の宿場があることに由来。1日100人ほどが来店し、作品を気に入った客には工房を案内し、作家や職人とつなぐようにしている。

協力隊員経て移住・開業へ

佐藤さんは埼玉県出身。筑波大(茨城県)で、農村の暮らしで仕事と共に使われていた建物などについて学んだ。大学院修了後、「フィールドに出て実際に活動したい」と、空き家対策に取り組む塩尻の地域おこし協力隊員に応募し、2018年に着任した。
在任中に仲間と、木曽平沢の古民家を改修した建物で古道具を販売する「ふるもの市」を開始。知人も増えて、任期後も住み続けることを決めた。作家や職人とも出会い、土に返る自然素材で作られた、長く使える伝統工芸品の良さを実感。
販売拠点がない作家や職人を支援しようと、夫で名城大(名古屋市)理工学部建築学科助教の布武さん(34)や、元地域おこし協力隊の仲間ら6人で生活民芸舎を立ち上げ、クラウドファンディングで資金を募り、店を開いた。

今後は、作家を紹介する冊子や店のオリジナル商品も作る。経営を安定させ、若手作家の制作拠点づくりや、販路開拓を後押しする活動も目指す。
「(店を開いたことで)奈良井宿のファンが増え、もう一度木曽に来てもらうきっかけがつくれたら」と佐藤さん。学生時代に共感した、自分の手で工夫して自らの生活をつくる農村文化。そうした生き方を、自身も歩もうとしている。
「土-とおいち」の営業は、土~火曜日の午前9時半~午後4時半。問い合わせはメール(tooichi.narai@gmail.com)で。