【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#30 抑草の新しいカタチ

抑草。「よくそう」と読みます。なじみのない言葉ですよね。雑草に「生えてこないで」「伸びないで」と工夫をすることです。私たち自然農家は農薬を使いませんので、ここで失敗すると、灼熱の炎天下に手で草を抜く、刈り取るといった作業で地獄を見ます。
抑草の研究は進んでいます。水稲の場合、ある種の雑草は、深めに浸水して代かきし、芽と根を浮かせて除去できます。秋起こしで稲わらを丁寧にすき込んで土中発酵させると、発芽を抑えられる雑草もあります。
私のような小規模の家族農業(米40アール、野菜30アール)であれば、そのような方法で抑草ができます。しかし、大規模になると、難しくなります。
昨今、千葉県いすみ市、石川県羽咋市など、学校給食を有機栽培の米と野菜で作る地域が出てきました。中信地区でも私の師匠、矢口一成氏の住む池田町で同様の取り組みが始まっています。給食には量が必要です。大きな水田で大型機械を使いたいところ。そこで工夫です。
最新の田植え機には「紙マルチ」を使えるものがあります。土の上に紙を敷きながら苗を植えます=写真。この紙は40日で水に溶けるとのことで、その間は太陽光が届かず、雑草は発芽しないし、育たないということでしょうか。イネは安心して雑草との競争に勝てます。なかなか考えましたな。
東北の大規模農地では徐々に普及しているようです。友人が塩尻市の10アールで実証実験中。また報告します。