
ライフコーチ・ボーク重子さんが講演
米ワシントン在住のライフコーチ、ボーク重子さんの講演会が5月29日、安曇野市の穂高交流学習センターきぼうで開かれました。「非認知能力」に関する著書を多数出版し、子どもの可能性を最大に発揮できる子育て・自分育てのコーチングを伝えるボークさんの話の一部を紹介します。
数値化できない力 育つ環境を
★非認知能力とは
テストの点数やIQ(知能指数)といった数値に表せる「認知能力」に対して、真逆の力です。自己肯定感や自制心、社会性、想像力、共感力、主体性、回復力、やり抜く力といった数値化できないもので、昔からあるものです。
テクノロジーとグローバル社会がいっそう進むこれからの時代では、非認知能力が重要です。インプットされたものを正確、迅速にアウトプットする力は人工知能(AI)で十分です。
★どう育むか
非認知能力はぜひ家庭で育んでほしいです。なぜなら教えて身に付けるものではなく、環境によって育むものだから。公立校も教育改革と言いつつコロナ禍もあって進められず、先生の意識もなかなか変えられません。でも子どもは日々成長しています。だから親が環境づくりをしてほしいのです。
子どもは面白そうだと思ったら、どんどん自分でやるようになり力を伸ばしていけます。失敗もありますがその過程でいろいろなことを学び、非認知能力が伸びます。
「自分からやる子、自分でできる子、自分で自分を管理できる子、どんなときも自分を大事にする子」。親が環境をつくることで、こうした非認知能力が高い生きる力や人間力がある子どもに育ちます。
★協働力
日本ではこれまで「空気を読む」「和を乱さない」といった「協働力」が重んじられてきたと思います。でも、これからの時代は、それぞれの違いを認め、強みを生かして一緒につくり上げていく協働力が求められるのではないでしょうか。音楽に例えるなら、みんなが同じバイオリンで同じように弾くのではなく、個々が好きな楽器、得意な楽器を持ち寄って一緒にハーモニーをつくる感じです。
「多様化社会」という言葉がよく使われますが、人はそもそも多様です。バックグラウンドも違えば身体的特徴も違います。
私がなぜ全国各地を回るかというと、非認知能力を育むのに格差があってはいけないからです。日本は東京だけではありません。「地方」がすごく重要。伸び伸びした環境でこそ得るものがたくさんある。自らの体験でよく分かっています。
だからこそ非認知能力のビッグバンを地方から起こしたい。地方が元気でないと、日本全体に元気がなくなります。私たち一人一人が自分らしく、自分軸で生きていける世の中にしたい|。そのためにみんなが非認知能力を育んでほしいです。
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講演会は全国35カ所で開催。非認知能力のコーチングに関する問い合わせは安曇野市の金森真季子さん(makico.kanamori@gmail.com、松本市の松山うた子さん(utacovision@gmail.com)。
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【ぼーく・しげこ】
福島県出身。30歳目前に渡英し、現地の大学院で現代美術史の修士号取得。南仏で出会った米国人の夫と1998年に結婚・渡米・出産。専業主婦を経て2004年、アート専門ギャラリーを開業。11年からライフコーチの勉強を始め、15年にICF(国祭コーチング連盟)の認定資格を取得。17年に一人娘が全米の大学奨学金コンクールで日本人として初優勝。その教育法が注目を集め、「非認知能力」の火付け役となる。