松本の塩原さん 自宅ガレージを改装 地域の「憩いの場」好評

みんなの「笑顔」が生きがい

「奥さんとスカイパークで運動してるよ」「歩くのもほどほどにしないと膝こわすよ」「この年になると自分の体と相談しながらね~」。すだれ天井からの暖かい木漏れ日の中で、世間話が飛び交う。
松本市神林の塩原時とき治じさん(75)は、自宅のガレージを「仲の良い地域の人たちの交流の場にしよう」と改装した。塗装業で働いていた塩原さんはものづくりが好きで、3年前に会社を退職したことを機に、ガレージ改装に着手。壁には孫からもらった手紙や絵、自身が撮影した写真などを貼り、塩原さんのお気に入りが詰まった空間となっている。そんな憩いの場には「毎日ご近所の誰かしらがいるよ」。塩原さんはうれしそうに話す。
地域の人たちに好評という空間が気になり、記者も交ぜてもらった。

愛称で呼び合い「世間話」楽しく

アサガオの爽やかなのれんの横に「よかったら、よってきましょ」の看板。満面の笑みでこちらを見ているのが、交流の場をつくりあげた本人、塩原時治さん(ときちゃ)だ。伺うと「とりあえずお茶飲みましょ」と優しく出迎えてくれた。この交流の場「よってきましょ」に集まる地域住民は、多い時で10人ほどになるといい、どの人も「ちゃ」付けで呼び合う仲の良さだ。
もともとは物置などに使われていた倉庫やガレージを、塩原さん自身が改装した。倉庫の壁を取り払い、風通しの良い窓を付けた。床も自分で張った倉庫は、南向きで日当たりも良いため「冬用」、常に日陰でひんやりとしているガレージ内には机や椅子などを置いて「夏用」と、春夏秋冬いつでも集まれるようにした。
6月初旬はまだ肌寒く、「冬用」スペースで取材した。週に3回ほど来ているという筒井昭年さん(75、あきちゃ)は、塩原さんと小学校の同級生で、この日は収穫した梅のお裾分けついでに遊びに来た。すると「回覧板持ってきたよ」と塩原たか子さん(84、たかちゃ)の声。人がどんどん集まってくる。「ここに来て毎日たまってるよ。1人でテレビを見てるより、誰かと話してる方がずっといい」とたかちゃは笑う。
菓子をつまみ、茶を飲みながら話す内容は、年金や孫、酒、健康についてなど「くだらない世間話ばっか」。笑い声が静かな住宅街に響いている。この場所が情報源というあきちゃは「新しい情報をみんなで共有できるのもうれしい」と話す。以前は公民館に集っていたが、コロナの影響で集まれなくなった。家とは別に気軽に集まれる場所ができ、良かったと近所の人から大好評だ。

2階スペースは写真や模型展示

ものづくりや写真が好きな塩原さんは、ガレージ2階に自身が40歳から撮りためた写真の展示スペースを作ったり、砂や石、割り箸などを使って作った本物そっくりの松本城や、神社を再現した模型を展示したりして、地域の人を驚かせている。
近所は70歳以上が多く、1人暮らしをしている人も少なくない。塩原さんは「楽しい・面白い話はもちろん、不安や悩みも話してみんなで助け合える場所になれば」と、「よってきましょ」に込めた温かい思いを語る。「自分も楽しいし、みんなの笑顔が見られるのが生きがい」とも話している。
取材を終えた頃、今度は4人目の女性、別のあきちゃが「フキ要るかー?」と訪ねてきた。