愛犬に安心安全鹿肉ジャーキー

松本の女性ハンター上原 さんが手作り販売

無添加で、安心安全なおやつを犬に与えたい─。そんな思いで信州産の鹿肉を使い、ジャーキーを手作りする女性がいる。ただ作るだけではない。第一種銃猟免許(狩猟免許)を取得し、捕獲も手がける。オンラインショップ「信州わんわんジャーキー」を運営する上原真由美さん(43、松本市神林)だ。
愛犬のミユゥアが出場するドッグショーの会場で、低脂肪高タンパクな鹿肉ジャーキーに出合った。猟師の父、敏克さん(73)が捕った鹿肉を、家庭用乾燥機で加工するようになった。ミユゥアに食べさせるうちに毛づやが良くなった。
品質向上に向け4年前、クラウドファンディングで資金を調達、業務用乾燥機を入手した。耳など普通は廃棄される部分も加工している。

鹿肉の良さ知り狩猟免許を取得

上原真由美さんの作業スペースは、自宅庭や敷地内にある別棟だ。会社員でもあるため、解体などの作業は出勤前、午前4~6時にこなす。帰宅後の時間は、パック詰めに充てる。
11日は、足8本を解体した。皮を剥ぎ、骨を取り除く。1本解体するのに、10分もかからない。その思い切りの良さ、手際の良さに驚かされる。解体後は洗浄したり、粘膜を取ったりし、部位に分け冷凍。半解凍した肉をスライサーで切り、1日半乾燥させるとようやくジャーキーが完成する。
低脂肪、低カロリー、高タンパク|など、上原さんが、鹿肉の良さを知り、ジャーキーを作り始めたのは2015年。翌年にはオンラインショップ「信州わんわんジャーキー」を立ち上げた。
当時は、家庭用の乾燥機を使っていたが、どうしても乾燥が甘くなってしまう。業務用乾燥機、厨房(ちゅうぼう)用の冷凍冷蔵庫が欲しいと、クラウドファンディングに挑戦し、購入資金を手に入れた。
最初は、猟師でもある父の敏克さんや父の猟師仲間から鹿肉を分けてもらっていたが、「猟に出ないのに肉だけ使うのは心苦しい」。一念発起し17年、狩猟免許と猟銃・空気銃所持許可証を取得。現在は、松塩筑猟友会神林支部に所属し、里山辺支部のメンバーと一緒に猟に出かけたり、メンバーから肉を分けてもらったりなど、世話になっている。

「命」をいただく大切さも感じて

商品は「犬の幸せ」を願い、「命をいただく大切さ」を感じながら、手間暇かけて手作りする。愛犬ミユゥアが厳しく検品(試食)し、OKが出ればパック詰めする。「ミユゥアが食べられないものは絶対に作らない」がポリシーだ。
命を無駄にしないようにと、鹿の体は肉のほか耳、気道、心臓、レバー、あばら骨など、普通は食用にならなかったり廃棄されたりする部分も利用する。耳は毛を抜き乾燥させジャーキー「かりかり鹿耳」に。
あばら骨は1度ゆでてから乾燥させ、おやつ「鹿のカリカリあばらボーン」になる。「この方法だと、骨が鋭利に割れず、胃に刺さらない」と上原さん。角は固く、犬の歯が割れやすいので使わないという。
出荷できない規格外のリンゴを使ったリンゴチップス、原村のカフェに依頼したローストビーフならぬローストディア(鹿)などラインアップは豊富だ。4、5日、白馬村のスノーピーク白馬で開いた週末マルシェでは、なめした腹子(胎児)の皮なども並んだ。
寝る間を惜しんで製造、休日はマルシェに参加するなど、「ほとんど休みはない」と上原さん。犬の喜ぶ姿を見たり、犬と触れ合ったりする時間が何よりの癒やしという。「ゆっくり試食会ができればいい」とほほ笑む。

信州わんわんジャーキーのオンラインショップは=こちら=から。