人がつながる場所を7月本格開店「白飯が進む食堂 弐助」

松本のエネルギー感じる店に

松本市中央4の市勤労者福祉センター内に今月1日、「白飯が進む食堂弐助(にすけ)」がプレオープンした。看板メニューの麻婆(マーボー)豆腐定食とエビ入りしらす丼定食を中心に、現在八つのメニューを用意。7月のグランドオープンに向け、メニュー開発の真っ最中だ。
切り盛りするのは、県内や首都圏で無農薬・無化学肥料の農産物や農産物加工品などを販売してきた寺島大輔さん(44、同市浅間温泉)。飲食業は初挑戦だ。
「地域の人が集まり、情報を発信・共有する場にしたい」と、店の白壁を開放。地元で表現活動をする人などが、自由に作品を飾れるようにする。コロナ禍で離れてしまった人と人との距離を縮め、交流してほしいとの思いからだ。「雑多な昭和の大衆食堂のような店」を目指して船出する。

こだわりは「壁 」 作品発表の場に

店の一角に、昭和の新聞や雑誌、ブラウン管テレビやガムの陳列棚など、「昭和レトロ」な品々が置かれている。弐助の経営者、寺島大輔さんが20代の頃から集めている“お宝”だ。
「昔の物に触れるとほっとする。好んで近くの席を選ぶお客さまもいるんですよ」とほほ笑む。
しかし、寺島さんが充実させようとしているのはこのコーナーではなく、店の壁。まっさらな壁を、絵や手作り雑貨など、地元の表現者たちの発表の場にする。
現在、松本市在住のアーティスト、AKOさんの絵画3点のほか、松本蟻ケ崎高校書道部の全国大会2連覇を伝える新聞などを掲示。壁に張られたお品書きは、同校書道部員の手によるものだ。
演劇の告知ポスターなど、ジャンルにとらわれずさまざまなものに対応。壁際には展示用の棚も設置する。「『弐助に行くと松本のエネルギーに触れて、なんだか松本が好きになる』、そんな店にしたい」と話す。

出店募集に即応 地域の活性化に

思いついたら即行動の寺島さん。同市波田出身で、幼少時からストリートダンスをしていたが、器械体操に興味を持つと、中学生の時から県内の強豪・岡谷工業高校の練習に参加し、同校へ進学。けがで競技を断念すると、目標をミュージシャンに切り替え、単身で米ニューヨークへ移り住んだ。
転機が訪れたのは、地元に戻って働いていた30歳の頃。知り合いの猟師に誘われて山に入り、豊かな自然に衝撃を受けた。
すぐに林業に身を転じ、休日も狩猟や山菜採りをするなど、山と向き合った。30代後半でジビエ肉を東京の飲食店に卸す「信州ジビエPRG(パブリックリレーションズグループ)」を設立。無農薬・無化学肥料の野菜なども取り扱うようになった。
今回も、市の募集に迷わず手を挙げた。コロナ禍による飲食店の苦境を目の当たりにしてきたが、人同士の触れ合いが減ることで、地域の活力がそがれるのを危惧していた寺島さんは、「肩肘張らず立ち寄れる大衆食堂は、地域活性化を促す仕掛けの一つになれる」と、旧知の料理人、松永佳祐さん(37、同市蟻ケ崎)を誘った。
使う食材は「信州ジビエPRG」の取引農家から買い取る規格外の野菜や果物など。どのメニューもボリュームたっぷりだ。味付けは「白飯が進む」を基準に、濃過ぎず薄過ぎず。テーブルには「お好みの味で」と、調味料を惜しみなく並べる。
「『満腹で幸せ、新しい“何か”と出合ってもっと幸せ』と思ってもらえたら」と話す目が輝いた。
午前11時~午後3時、火曜定休。麻婆豆腐定食1000円、しらす丼定食800円など。6月中は全品100円引き。TEL0263・38・3181