物語性をプラス肖像写真の魅力「信州ポートレート二人展」

撮影・小林聖人さん

幻想的な氷の世界にりんと立つ女性。歴史ある宿場町をふらりと歩く女性。テイストはさまざまながら、どれも信州をキーワードに、モデルをメインに据えた「ポートレート作品」だ。
東京や名古屋など都市圏では一定の人気があり、多数の会場で開かれているポートレート写真展。信州ではまだ認知度が低いこれらの魅力を知ってもらい、愛好者のすそ野を広げようと、「信州ポートレート二人展」が5日まで、松本市出川のギャラリータカハシで開かれている。
主催するのは、「聖人(きよひと)」こと、朝日村の小林聖人さん(50)。風景写真とは違い、生身のモデルがいるからこその演出や表現にこだわり、映画のワンシーンのように印象的な作品を作り上げている。

認知度高め愛好者増やしたい

「この自然の光がいいね」「これはマットの印画紙で絵画のように仕上げてみた」
並べられた自慢の作品を前に、意見を交わす2人の男性。「信州ポートレート二人展」を初主催する小林聖人さんと、カメラマン仲間で同展に出展するTaji.Leafさん(51、長野市)だ。タイトル通り、信州の自然や街並みを背景にした作品や、長野県在住・出身のモデルを起用した作品35点が並ぶ。
小林さん撮影の、雪の女王をほうふつとさせる作品は木曽の白川氷柱群、Taji.Leafさん撮影の街道の作品は、奈良井宿が舞台だ。色鮮やかな季節の花や紅葉をバックにした写真も。いずれも、風景だけとは違う物語性や表現力にあふれ、見る者の心を引きつける。

撮影・Taji.Leafさん

以前は、デジカメで旅行や記録用の写真を撮るくらいだったという小林さん。2年前、ポートレート写真と運命的な出合いを果たす。「興味はあったものの敷居が高くて」と感じていた、県内でのモデル撮影会に知人の紹介で参加、一挙にその魅力にはまった。
そこから機材をそろえ、県内や東京のプロカメラマンにも指導を受け、ツイッターなどのSNSやアートフォトの審査サイトなどにも積極的に投稿して技術を磨いてきた。
この世界に足を踏み入れて初めて、県内にも撮影に協力するモデルが十数人いることや、東京などと違い、まだまだポートレートの知名度や理解度が低いことを知った小林さん。この魅力を多くの人に知ってもらい、関心のある人にアドバイスなどもできればと、東京の展示会に多数出展するなど精力的に活動するTaji.Leafさんに声をかけ、今回の写真展が実現した。
一口にポートレートといっても作者の個性はさまざまで、「僕は衣装にもこだわり、演出や創作するポートレートが得意」と小林さん。例えば、幻想的な氷の世界を表現するため、カメラの色温度を最大青めで設定、顔の色補正のため黄色のフラッシュを当てるなど、細かい設定を行い撮影した。一方のTaji.Leafさんは、ナチュラルなテイストやモデルの表情にもこだわった「情景フォト」を得意とする。
2人とも普段はツイッターで毎日写真を投稿するなどネット上での表現が多いが、今回は紙に印刷することで、紙質の違いによる色合いや光沢の変化、額装にもこだわったという。小林さんはこれを機に独立、今後は撮影会の運営も行ったり、秋にはさらに大規模な写真展を計画したりする。「多くの人に見てもらい、一歩踏み出したいという人の後押しができたら」
5日まで。無料。午前10時~午後6時半(最終日は午後5時まで)。