服飾の「八百屋」こだわりの1着 理想の服を形に 「8clotH」小池さん

自宅のアトリエで作業するのは、昨年10月に「8clotH」(エイトクロース)の屋号で独立した小池真樹さん(35、安曇野市)。服飾業界で長年経験を積み、ボタン付け一つから、最初から作り上げるオーダーメードまで、依頼主の理想を形にする。
「お客さんと一緒にこだわって、作る喜びを感じてもらいたい」。コートを毎年買うと10年で10着になり、さまざまな着こなしを楽しめる。一方、10年でコート1着なら、とことんお気に入りを愛用できる。どちらも良いが、小池さんは後者の考え方だ。
流行を基に大量生産-ではなく、「お気に入りの1着を永く愛用してもらいたい」。そんな消費活動が社会問題の解決の糸口になるのではとも考える。

安曇野市の自宅兼アトリエで製作活動に励む小池さん。ボタン付け一つから行う「お直し」、素材を生かした「リメーク(仕立て直し)」、サイズ、素材、色柄、シルエット、機能性までこだわって作れる「オーダーメード」を手掛ける。
服への思いやこだわりなど依頼主の希望を聞き、相談しながら理想の形にしていく。デザインを基に型紙を起こし、資材調達、縫製、納品まで行う。
若い頃に真っ赤なレザーパンツをはいてバイクに乗っていたという女性は、捨てられない思い入れのあるパンツをリメークし日常で使える肩掛けバッグに。大切な場面で着用するスーツ、お気に入りの衣服を違う素材の生地で再現したものなど依頼主と一緒に作り上げる。「一点ものを作るわくわくを、依頼主と共有したい」
地域の店舗のコンセプトや人柄が反映されるオリジナル商品の企画も行う。古着店では、端切れを使ったスヌードやひざ掛けなどを企画した。「こんなのあったらいいなを形にするために、考えるのが楽しい」
諏訪市出身。高校時代にためたお金で自分で選んで買った服が友人らに褒められた。服に興味を持ち、松本市の松本衣デザイン専門学校に進学した。授業で「縫製」の楽しさを知った。自身が描いた物が形になることがうれしかった。
東京のアパレル会社に就職が決まり、同校を中退して上京した。服の型紙を書く「パタンナー」から始まり、デザイン、縫製、生産管理などに携わり約7年。素材や流行に伴い技術が目まぐるしく変わるファッションには終わりがないと感じ、服飾に関わることがさらに楽しくなった。と同時に、量産販売の在り方に疑問を抱き、商品を来店客に薦められなくなったという。
結婚を機に帰郷、母校で講師として学生に教える中で、社会問題について考えるようになった。「ただ作る・売るだけではいけない」。2021年、同校閉校に伴い、培ってきた経験や技術を生かし、独立した。
屋号の「8clotH」は服飾の「八百屋(何でも屋)」であり「八方よし」の理念に基づき活動したいとの思いから名付けた。こだわって作る1点は、依頼主の満足度もかなり高い。「長く着る、使う」「服飾で何かできないか」と考えたときに、必要な物を必要なだけ作ることが「社会問題の解決の糸口になると思う」。
9、10日は、塩尻市のミミー商店で県内の古着店10店ほどが集まるイベントを企画している。エイトクロースはミシンを使ったコースターやトートバッグなどのワークショップを開く。9日午後6時半からは「古着」をテーマに座談会。店主のこだわりや社会問題について語り合う。料金は1ドリンク付き2000円。予約、問い合わせは小池さんTEL090・4463・7418、またはインスタグラムのメッセージで。