塩尻の横山さん 生産者と消費者つなぐ活動

子どもたちの未来のために

「きのう摘んだ新鮮なブルーベリーだよ」「かみしめると甘さが後から出てくるよ」
9日、松本市で開かれた「ママフェスまつもと」。大勢の母子が詰めかけた会場で、子どもたちの目線で話しかけ、食材のおいしさやこだわりを熱心に伝える女性がいた。
塩尻市洗馬の横山恵理さん(29)。子どもたちの未来のためにも、安心安全な衣食住の選択肢を広げるきっかけをつくれたらー。そんな思いから、自身が気に入った地元産の無農薬野菜や製品などのイベント販売や、生産者と消費者をつなぐための活動を始めた。
屋号は「Mukuiro(むくいろ)」。ありのままの色で自分らしく、子どもには「あなたの色で育っていってほしい」という願いを込める。

安心安全な商品 選択肢を知って

ママフェス会場、横山恵理さんが出店した「Mukuiro」のブース。無農薬で環境負荷の少ない農業を行う「さとわ農園」(朝日村)の野菜、「アイスベアプラッツ」(山形村)のブルーベリーのほか、県産の甘酒や米粉、掃除や残留農薬の除去にも使えるというホタテ貝殻のパウダーなどが並ぶ。どれも横山さん自身が使い、おいしくて安心安全、地球環境に優しい─などの観点から気に入っている品々だ。
瓶に入れたドライフルーツ類は、安曇野の専門店から仕入れたフェアトレードの品を、10グラムから量り売り。訪れた子どもたちにも好評だった。横山さんは「商品を売りたいというより、心地よく過ごすためにいろいろな選択肢があるよということを感じてもらいたい。気にかけてくれる人、立ち止まって話を聞いてくれる人など新たな人とのつながりができ、きっかけづくりにはなったかな」と手応えを口にした。

横山さんは諏訪市出身。愛知県の大学院を経て小児専門の作業療法士として働いた。2019年春、夫の暁一(あきひと)さんが塩尻市の地域おこし協力隊に着任。第1子を妊娠中だったこともあり、自然の中で子育てをしたいと同市洗馬に移住した。
愛知時代はオーガニック食品を扱うスーパーが身近にあり気軽に買っていたが、塩尻にはなかった。最初は不便と感じたが、食品を探すうちに地域の熱い思いを持った作り手とつながるように。「モノの先に作り手がいることを知った。顔が見えると安心だし、そこから買えるのは豊かなこと」と気付いた。そうして、普段は接点を持ちづらい作り手の思いを消費者に伝える「きっかけづくり」の活動を思い立った。

交流イベントや農業体験も企画

昨年5月に開業し、第2子出産後の今春から活動を本格化。横山さんがおいしい、心地よいと思う商品を提案するための月1回のマルシェ出店に加え、6月には生産者の思いをじかに聞く交流イベントを塩尻で初めて企画。畑で作り手の思いに触れる時間は貴重と好評で、今後も続ける。
さらに今年は地域の農家の協力で、シェアファームで大豆と野菜を育てる試みも。8組の親子が参加、共感する仲間の輪も広がっている。手作りの大豆でみそを造るのも夢だ。
「子どもたちの未来のために、少しずつでも変わっていくことが大事で、そこからいい循環も生まれる。自分ができる範囲のことをコツコツやっていきたい」。思いは強いが気負いはない。
今後の予定は、7月20日えんてらすマルシェ出店、21日トウモロコシ収穫体験、8月1日ブルーベリー農園訪問など。詳細はインスタグラム=こちら=から。