「ボルシチ」で交流 支援を

朝日村 9月に 「ボルシチまつり」 朝日村

朝日村のビーツでウクライナとつながろうと、「ボルシチまつりinあさひ2022」の準備が、同村と名古屋市で始まっている。
ウクライナの郷土料理、ボルシチを作って大勢の人に食べてもらい、ウクライナに心を寄せるきっかけにする狙い。避難民を元気づけ、戦争孤児を支援し、村産ビーツを紹介する─と思いを込めて9月24日、同村の屋外多目的施設「緑のコロシアム」で開く予定。
主催するNPO法人日本ウクライナ文化協会(名古屋市)の副理事、榊原アレクセイツェヴァ・ナターリヤさん(38)が今月9日に村を訪問。イベントのきっかけをつくったせせらぎ山女魚(やまめ)園経営の山田喜孝さん(64)=同村=と、山田さんのめいで榊原さんの友人、名古屋市在住の小石原祐子さん(44)らと、ビーツ畑などを見て回った。

村特産ビーツで元気づけたい

朝日村のビーツ生産者、下田明範さん(49)は、ボルシチまつりの開催に合わせ、例年よりも早く栽培を始めた。畑を訪れた榊原アレクセイツェヴァ・ナターリヤさんは「子どもの頃、ウクライナでビーツなどいろいろな作物の畑で手伝いをした」と懐かしんだ。息子のエリク君(11)、カイ君(8)も畑の様子に興味津々。育ち始めたビーツを見せてもらったり、苗の根元でヒバリの卵を見つけたりして、ひとときを楽しんだ。
まつり開催へ動き出す発端は2019年12月。朝日村の地域おこし協力隊として活動していた山田喜孝さんを訪問した小石原祐子さんと榊原さんが、ボルシチの材料になるビーツが朝日村で栽培されていると知ったことからだ。
昨年12月、下田さんからビーツを送ってもらった小石原さんが「ウクライナ人の友人に配ると『大きくて甘くて、とてもおいしい』と喜ばれた」と山田さんに伝えた。村観光協会理事でもある山田さんは「ボルシチを作って日本ウクライナ文化協会と交流し、ビーツを村の特産として紹介できないか」と考えた。そんな折、ロシアの軍事侵攻が始まった。

秋の収穫祭に合わせて開催

18年に設立された文化協会は、日本とウクライナ両国の交流事業を行うほか、現在は愛知県にいる避難民約60人を支援している。協力してボルシチまつりを開き、避難民に古里の料理を食べてもらい、収益は戦争で親を亡くした子どもたちのため、ウクライナの関連団体に送金しようと計画。避難民を取り巻く環境を多くの人に知ってもらい、高森町にもいる避難民との交流にもつなげたい考えだ。
毎年子どもの夏休みには、ウクライナへ帰省していた榊原さん。コロナ禍で2年間帰れず、「今年こそは」と考えていたが、戦争により再びかなわなくなった。「私たちは毎日、戦争が終わるように祈っている。世界の人に痛みを聞いてもらいたいし、忘れないでほしい」と訴える。
「ウクライナのおじいちゃんのボルシチが大好き」と榊原さんの子どもたち。ユネスコの無形文化遺産に緊急登録されたボルシチを、日本の人に知ってほしいという思いも、山田さんにはある。「幾つもの偶然が重なって生まれたイベント。多くの人に来てもらい、支援につなげたい」
まつりは、村で秋に予定されている収穫祭「大博覧会」に合わせて開き、村観光協会と村商工会が共催する。300人分のボルシチを有償で提供する予定だが、当日朝に野菜を切ったり、会場で配膳をしたりするボランティアを募っている。問い合わせは山田さんTEL090・5619・6753