【ガンズリポート】シゴトを語る #8 喫茶山雅シェフ・大月久樹さん

選手やファンの話がヒントに

店舗(松本市大手4)での調理が主な仕事です。2度目のJ1昇格を果たした2019年あたりから、選手の食事を用意することも多くなりました。
選手とやりとりすると、「試合前は乳製品を取らない」とか「ジャガイモを食べる」とか、アスリートの食事を具体的に知ることができます。僕の持っている栄養の知識と組み合わせ、メニューを工夫します。
油を使わないドライカレーを作っているという選手がいましたが、僕が作ってあげると「全然違う」と。作りたいものを表現する調理技術は持っています。
松商学園高校を卒業し、横浜で和食の修業を始めました。東京に出て、茶懐石を出す店で働いた後、ホテルに移り、洋食を含めていろんな料理を作りました。個人店を任された後、松本に戻り、和食の店を持ちました。高級懐石から庶民的な料理まで、30年ほどの間に幅広く技術を磨きました。
5年前、前任のシェフが辞めるタイミングで山雅に来ました。自分もサッカーをやっていたし、兄(前社長の弘士さん)が関わっているクラブでしたが、山雅については試合結果を気にするくらい。そこで働くとは思ってもみませんでした。
しかし、来てみると、経験をいろいろと生かすことができました。料理の技術と知識のほかに、接客があります。東京や松本の店には、カウンターがありました。お客さんの評価がダイレクトに聞けて、刺激的で、面白かった。
喫茶山雅でもファン、サポーターに話を聞くのが好き。料理のヒントをたくさんもらいます。対戦相手にちなんだメニューを考える時には、アウェーの現地に行った人の情報に助けられます。
去年は、佐藤和弘選手の出身地、岐阜の「鶏(けい)ちゃん焼き」をサポーターに教えてもらいました。佐藤選手に聞くと「うまいですよ」。さらに味付けや盛り付けを尋ね、選手プロデュースの弁当にしました。こういう形でも、ファンと選手をつなぐことができます。
試合日に、サンプロアルウィンのコンコースに出す店では、調理ができません。出来たてを出したいという思いが、キッチントレーラーになりました。
イベントに呼ばれれば、どこでも行ける。店の活動範囲が広がりました。目立つ外見で、すぐに山雅と分かる。新しいファンが増えることにつながればと思います。