枝豆のにおいがするレタス開発

「驚きと感動」の味を提供

レタスなのに、枝豆のにおいがする!? そんなユニークなレタスが今月、お目見えした。仮称「香りレタス」。開発に取り組んだのは、県野菜花き試験場(塩尻市宗賀)と明神館やヒカリヤなどを運営する扉グループの統括総料理長・田邉真宏さん(47)だ。
結球しない茎レタスで、ロメインレタスのようにも見えるがちょっと違う。通常の茎レタスは葉を食べないことが多いが、この香りレタスは、葉も食べられる。レタス特有の青臭さがなく、炒めても煮ても、生でもおいしく食べられるという万能野菜だ。
扉グループでも、今月末からメニューに取り入れる予定。松本市など一部スーパーでも扱い始めている。今後は、生産者も増やしていきたい考えだ。

初めての栽培手探りの挑戦

「一口食べてみて」。渡されたレタスの葉を口に入れると、レタス特有の青臭さがなく、のみ込むときに、枝豆のにおいが鼻に抜ける。不思議な感覚だが、しゃきしゃきとしておいしい。
安曇野市堀金三田にある藤原弥生さん(79)の畑では、今年5月に種まき、6月に1000本を定植、7月20日に収穫した。初めてで栽培法も分からず、手探り状態だったが、県の情報を取り込みながら挑戦したという。農薬は全く使わず、有機堆肥だけ。しっかり育ったレタスを見て、「病気にならず、育てやすかった。珍しい野菜の栽培は面白い。反響があれば、それがやりがいになる」とうれしそうにほほ笑む。

「豆の香り」で利用範囲広げ

扉グループ統括総料理長の田邉真宏さんは、7、8年前、県野菜花き試験場が取り組む「茎レタス/長・野54号」を知り、「料理に使いたい」と、試食、試作を重ねるなどし県と二人三脚で研究、開発を進めてきた。
信州は全国を代表するレタス産地で、栽培の基盤はあるが、他の種類のレタスを栽培するのは簡単ではない。しかし、だだちゃ豆の香りがする、サプライズたっぷりのユニークな野菜が、田邉さんの味覚、臭覚、そして心をしっかりつかんだ。
焼いたり、ゆでたりすると、豆の香りがさらに引き立つ。炒め物でも、みそ汁に入れてもOKといい、利用範囲は広そうだ。「枝豆は子どもから大人まで、ストライクゾーンが広い野菜。同じような非結球のロメインレタスはえぐみが強いが、これだったら扱いやすい」と田邉さん。
早速、田邉さんに料理を作ってもらった。香りレタスとエビ、米をブイヨンで炊いて、パルメザンチーズとバターで仕上げたリゾット。豆の香りがより一層こくを引き立てる料理に仕上がっている。
東京や軽井沢のホテルに届けると、好評だった。料理研究家で野菜ソムリエプロの牛原琴愛(ことえ)さん(東京都)は「茎も葉もダブルで食べられる。茎レタスは食べ方や使い方が分からない野菜の一つだが、香りレタスはそのハードルを下げることができる」と太鼓判を押す。
「だだちゃ豆の香りという付加価値を付けたレタスを使った料理を提供することで、松本を訪れた人にも感動と驚きを与えることができるのでは」と田邉さん。それが、松本を再び訪れるきっかけになるかもしれない、と期待する。飲食店だけでなく、家庭での需要も見込むといい、県誕生のユニークな野菜がさらに羽ばたくことを願う。
生産販売は、信州ゆめクジラ農園(安曇野市)が担当する。