夏の夕景飾る「天使のはしご」(松本市内田)

朝方や夕方に現れ、人の心を引きつけとりこにする自然現象の
「天使のはしご」=ニコンD5、ニコンED ニッコール28~70ミリ、22日午後6時15分

黒雲を割り地上へと差し込む劇的な光

22日夕、「あじさい寺」で知られる松本市内田の法船寺で神秘的な雰囲気を漂わせた自然現象の「天使のはしご」に出合った。
松本平南部の上空が黒雲に覆われ、急に辺りが薄暗くなった。始まった雷雨の雨足で、木曽路や安曇野方面の山際が白く染まりだした。
撮影機材を片付け始めると、上高地に通じる国道158号の島々谷方面上空が、急に明るさを増した。突然、黒雲の一部が割れ、天空から薄暗い地上へと、舞台で心理描写を際立たせるドラマチックなスポット光のような光が差し込んだ。「天使のはしごだ!」。思わず叫んだ。
この気象現象は「薄(はく)明(めい)光線」と呼ばれる。太陽が雲に隠れているとき、雲の切れ間や端からもれた太陽光が放射状に降り注ぐ現象。他に「光芒(こうぼう)」「天使の階段」などの別名も。世界的にも人気が高い自然現象で英語では「エンジェルラダー(Angel’s ladder)」と呼ぶ。
撮影は季節感の風情を意識し構図を決めた。赤やピンク、白のアジサイを前景にした天使のはしごとの共演は約11分間の光彩ドラマだった。こだわったのは花の色。花言葉がネガティブなものからポジティブまで色により違う。花の色が変わることから「冷淡」「無情」「浮気」など驚きの花言葉も。赤やピンクは「強い愛情」「元気な女性」。白は「寛容」「一途な愛」である。
(丸山祥司)