不登校から向き合う一歩 母娘でギョーザ店オープン

目標に向かって 友人らも応援

あれ?こんな所になんの店?安曇野市明科中川手の山間部の集落に、おしゃれな構えの店がある。「山の中のぎょうざ屋さん」。日髙みゆきさんと娘ののんさん(14)が、力を合わせてオープンした。
のんさんは中学校2年生で不登校になった。みゆきさんは「このままではいけない。2人で何かしよう」。それまでは仕事に追われ、子どもとの時間は少なかった。のんさんとしっかり向き合う覚悟を決め、一緒に食事を作り始めた。
ギョーザ作りに挑戦した際、のんさんが黙々と作る姿に、道が見えた気がした。「仕事にできたらいいのかな」。家族や友人に相談すると、応援してくれた。のんさんの友達も背中を押してくれた。「食べた人においしいと言ってもらえたら」と、2人は顔を見合わせる。

2人で悩み決断支え合う時間を

青い壁が印象的な建物。ギョーザの中に山や木、青い鳥などが描かれたロゴもかわいい。テイクアウト専門ギョーザ店「山の中のぎょうざ屋さん」だ。日髙みゆきさん、のんさん親子が、自宅の敷地内に建てた。
店内では、みゆきさんがニンニク入りを、のんさんがニンニクなしを一つ一つ丁寧に包む。のんさんの作るギョーザはひだが細かいなど、2人の形が違うのも、手作りならではだ。
のんさんは中学2年生の2学期から、不登校になった。「学校に行けるのが一番いい」ことは分かっている。2人で悩み、苦しんだが、このままでは前に進めない。みゆきさんは当時、夜勤もある介護の仕事をしていて、子どもと過ごす時間は少なかった。一緒の時間をつくろうと、2人で食事作りをすることにした。
ギョーザを作った時、無心になってギョーザを作る娘の姿に触れた。みゆきさんにとって新しい発見だったという。のんさんも「楽しかった。並んだギョーザを見たとき、気持ちよく、達成感があった」と振り返る。「目標ができたら変わるかもしれない」。店を開くことが頭をよぎった。
「店をやったらいつも一緒に居られる」。そんな思いも後押しした。家族や友人、職場の人などに相談すると、応援してくれ、とんとん拍子に話は進んだ。

こだわりの味でみんなを幸せに

みゆきさんは3月には仕事を辞め、ほぼ毎日ギョーザを作り、腕を磨いた。家族はもちろん、友人らに試食をしてもらい、作り続けた。ギョーザ漬けの毎日に、何が正解か分からなくなったこともあったが、試行錯誤しながら味を追求していった。試食した人から「食べ物で人を幸せにする仕事はいい」と言われた時、店をやるという覚悟が決まったという。
タマネギなど自分の畑でできた野菜、国産豚肉など、材料にもこだわる。「肉汁たっぷりで、ショウロンポウのよう」とみゆきさん。山の中で、立地は決していいとはいえないが、開店前から予約が入るなど、手応えを感じている。
母と過ごす時間に、のんさんもどんどん明るくなった。現在は中学3年生。卒業後は進学せず、店をやることに決めた。みゆきさんは「いずれやりたいことが見つかった時、勉強すればいい。その時羽ばたいてもらえたら」と娘を見守る。
「気軽に、子どもが1人でも安心して来てもらえる店に」。地域の人に愛される店を目指す。
午前11時~午後7時(売り切れ次第終了)。月、火曜定休。ゴールデンウイーク、お盆、年末年始なども休み。営業日などは = インスタグラム=で。