“無観客”すすき川花火大会に若い力

地域と深めた絆 花開くとき

松本の夏の夜空を彩る「すすき川花火大会」。今年は10日、3年ぶりに開催予定で、①会場に観覧席を置かない「無観客」②打ち上げ時間短縮③大会の様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で生配信―などの方向で実施する方針だ。
依然収まらないコロナ禍で、花火大会も開催方法を試行錯誤。こうした中、花火大会の新たな楽しみ方のPRや当日の司会など、大会実行委員会とともに企画・運営に関わり、支える若い力がある。2020年に発足した松本大(新村)の学生でつくる「すすはなプロジェクト」だ。
前リーダーでプロジェクト立ち上げ人でもある窪田英治さん(22)、リーダーの鈴木悠太さん(19)を中心に、若者ならではのアイデアや視点で、無観客の花火大会を盛り上げようと奔走する姿を追った。

「人を集めない」難題に取り組む

今年は無観客開催の「すすき川花火大会」。この「新しい形の花火大会」を盛り上げ、運営を支えるのが、松本大「すすはなプロジェクト」のメンバー12人だ。
大会が1カ月後に迫った7月上旬。実行委(事務局・富士電機松本工場)から学生たちへ、従来とは違う楽しみ方の提案や、会場に来ない機運づくり、当日の動画配信時の司会進行―といった「難題」が突き付けられた。
予想外の注文に、リーダーの鈴木悠太さんは「本来人が集まるイベントを、集めないというのが難しい」と不安顔。時間がない中、手探りで取り組みが始まった。オンラインでの話し合いを経て、1週間後には多数のアイデアが。「うちわに動画のQRコードを入れる」「花火動画のスクリーンショット(静止画撮影)コンテスト(松本大主催)を行う」などのアイデアが採用となった。
FMまつもとで放送する恒例のCMも、会場に客が来ないよう呼びかけるドラマ仕立てなどの7本を、脚本とナレーションも学生が考えて収録。うちわは事前の街頭配布には間に合いそうにないものの、デザイン画を幾つも描いて業者を手配し発注するなど、大会に向け急ピッチで作業が進む。

コロナ下の活動若者の視点発揮

「すすはな―」は、学内で地域連携活動支援を行う、地域づくり考房『ゆめ』の学生プロジェクトの一つ。もともとすすき川花火大会には、実行委からの依頼で2014年から学生が関わってきたが、紆余(うよ)曲折ありいったん解散。1年生で大会を経験した窪田英治さんが20年に、若者の視点でより主体的に地域の課題に寄り添おうと、名称を変え再スタートさせた。
しかし、新型コロナで初年度の活動はほぼできずじまい。昨年は「できることをやってみよう」と、「すすはなさんぽ」と題し、筑摩地区を歩いたり、花火大会と関わりの深い筑摩神社の人に話を聞いたりし、地域への理解や愛着を深めた。SNSも開設し、活動の様子や地区の魅力も発信してきた。
昨秋には地域の3500世帯にアンケートを実施。結果を踏まえ、今年の大会に向け「車に乗って花火を見る」など具体的な提案をした。採用には至らなかったが、実行委からは「参考になった」「別の視点で勉強になった」との声も出た。
窪田さんは「活動を通して、人とつながっていくことの楽しさを知った。地道に取り組んできた自分たちの活動の輪が少しずつ広がって、10日はやっと形になり皆さんにも見てもらえる機会」と意気込む。
当日のウェブ配信では、学生たちによる司会も見どころ。花火大会の詳細は大会公式ウェブサイトや、学生のインスタグラム(susuhana_project)で。