若手農家と飲食店協力 購入型CFで新たな販路

互いの「いい仕事」多くの人に

安曇野市穂高柏原の有機野菜農家「のぐちファーム」の畑で炎天下、収穫に汗を流す野口雄貴さん(36)。その働く姿勢と、野菜の味に魅せられ応援するイタリアンレストラン「RossoBianco(ロッソ・ビアンコ)」(穂高有明)の経営者、清水祐司さん(41)。
2人は互いの店や農場を知ってほしいと、今月31日まで、購入型のクラウドファンディング(CF)を行っている。のぐちファームの野菜を使った料理を提供し、販売用ドレッシングを4種類用意した清水さん。理解者を得て栽培に力が入る野口さん。
2人ともSNSやインターネットを駆使する一方、仲間や客など直接的な人とのつながりも大切にする、新しい時代の事業者だ。

異業種親睦会で4年前に出会い

松本市出身の清水祐司さんが、安曇野市穂高有明にロッソ・ビアンコを開店したのは2016年末、30代半ばの頃だった。空き店舗が気に入って購入し、イタリアンレストランを始めた。
主に女性客を想定し、駐車場の幅を広くするなど、きめ細かなアイデアをつぎ込んだ。ユーチューブでレシピ動画を配信したりもし、現状に甘んじない経営の在り方を大切にしてきた。
野口雄貴さんと出会ったのは18年、異業種の若者が集う親睦会だった。
野口さんは東京都出身。信州生まれの妻の影響もあり、「新しい場所で何かしよう」と13年に安曇野市に移住した。楽器作りに憧れた時期もあったが、結局、選んだのは農業。15年、市の新規就農者となり、野菜栽培を中心にした。
「それからが大変だった」と苦笑する野口さん。できる限り農薬を抑えようと頑張ったが、品質は不安定。休みも取れない。「目の前には膨大な仕事が待っているのに家計は火の車。泣きたくなった」と振り返る。

取引開始で自信農業軌道に乗る

変化が生じたのは、清水さんと出会った頃からだ。地元の生産者から、じかに野菜を仕入れたいと思っていた清水さんは、野口さんの野菜を試してみた。良い品質だった。同店のシェフ、山田章太さん(40)も「しっかりした味。調理しても味が埋もれないので仕上がりがいい」と保証。野口さんの野菜を継続して仕入れるようになった。
「試行錯誤の連続だった」という野口さんは、固定した取引先ができて自信がつき、他の飲食店との取引も徐々に増えた。イタリアンやフレンチの店が多いため、ハーブや食用花も作るように。現在は白いナス、紅芯(こうしん)大根、黄色いカブなど、年間約100種類を生産している。
「種苗業者さんやインターネットなどから情報を多く入れ、研究しながら作っている。失敗もあるが、それは間違いを見つけられるということ。ありがたい」と前向きだ。ネット通販も行い、市内の私立保育園で農業指導をするなど、活動の幅も増えている。農業を軌道に乗せるきっかけをつくってくれた清水さんには「感謝している」という。

CFをすることは、2人で話すうちに決まった。互いに認め合える「いい仕事」を、より多くの人に知ってもらうためだ。
ロッソ・ビアンコで評判のいいドレッシングは、有機野菜を加工する会社「信州自然王国」(飯田市)に依頼し、タマネギ、トマト、リンゴ、みその四つを1セットにした。
のぐちファームの有機野菜詰め合わせフルセット4000円(ハーフは2800円)、ドレッシングセット5000円、食事券5000円(6000円相当)など。
申し込みは「CF信州」のサイトから。ロッソ・ビアンコTEL0263・31・5298