【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#34 イネの起源を利用する中干し

「中干し」。これも非農家の皆さんには、なじみのない言葉ではないでしょうか。田植えをしてから1カ月か1カ月半の時期に田んぼの水を完全に抜きます。それまで水はふんだんにあったのに、一転して強烈な渇水ストレスをイネに与えます。
私たち自然農家は、そもそもその種の原産地はどこで、遺伝子はどんな環境を原体験として持っているのだろうと考えます。トマトの自然農家は、原産地のアンデス山地に合わせようと、雨を避けるためにハウス栽培をしています。トマトは、空中からも水分を得ようと茎にも産毛をビッシリ生やし、実は甘くなります。
さて、イネですが、サバナ気候地帯が原産地だと言われています。猛烈な雨期と乾期が特徴ですから、中干しをすることで乾期を再現します。
自然農法でなくても中干しをしますが、最近はゴールデンウイークに田植えをしますので、中干しする時期が梅雨に当たると、管理が大変かもしれませんね。また、中干しをしないと、稲刈りまで青い葉のままで、弱く倒れてしまう一因になるとされています。
中干しを終えたイネは少し黄色く、茎も太く強くなります。何より地中の根が地下にまっすぐ伸びる「水田の根」だけではなく、より雨水を取り込もうと横に広がる「畑の根」を伸ばします。2種類の根からの栄養で、穂をたっぷりつけてくれます。台風にも強いので安心です。
稲刈りが楽しみです。