「三十三日回峰」を決行中 はだしで山登りやすらかさ感じ

中島木延(もくえん)さん 大町市

菅笠(すげがさ)に布を身にまとい、修行僧のようないでたち。中房温泉(安曇野市穂高有明)の登山口から、息を切らさず登り続けて2時間余、北アルプス燕岳(2763メートル)の頂に立った。…はだしで。
大町市美麻のげた職人・中島木延(もくえん)さん(42)は8日から9月9日までの33日間、毎日はだしで山を登る「三十三日回峰(かいほう)」を決行中だ。富士山を皮切りに七倉岳、爺ケ岳、烏帽子岳、唐松岳、戸隠山などに登頂した。
はだしは気持ちがいい。「やすらかさと共にあるのが行。やすらかさと共にないのは苦行」。特定の宗教ではなく、木延さん独自の行だ。回峰は気持ちいい瞬間の連続で、決して苦行ではないという。行で得た“やすらかさ”を日常生活に落とし込むのがテーマだ。

不調なくなり五感がさえて

中島木延さんがはだしの三十三日回峰を始めて4年目。これまでハーフ、フル、ウルトラ(100キロ)の各マラソンレースに、はだしで出場した。
10年ほど前にランニングを始めた。シューズを履いて長距離を走ると、昔傷めた膝が痛くなった。脚を傷めない走り方を調べると、はだしの「ベアフットランニング」に行き着いた。「現代人がはだしで走る力をどこまでよみがえらせるか、試してみたかった」
好きな山登りもはだしで始めたところ、体のトラブルはなくなり、シューズの機能に頼って失われていた皮膚感覚を取り戻した。「不思議なことに、指先が岩などにぶつからないよう勝手に動くようになりました」。五感が研ぎ澄まされ、前後の登山者の姿が見えなくても、においと足音で分かるようにもなった。「砂利道や岩場も急がず自分のペースで歩けば、足裏は痛くありません」
思い付きで始めた三十三日回峰。回峰の間は好きなお酒も断つ。日帰りで登れ、1日の獲得標高が平均1300メートル以上になるよう、当日の天候を確認して登る山を決める。リュックには水分、行動食、雨具、非常用の靴、防寒着など装備は万全。登山中に雷が鳴ったり、身の危険を感じたら、それ以上進まないと決めている。

目標は30年以上 24時間走も計画

初挑戦の年、疲れがたまっていた20日目くらいに戸隠山から下山した瞬間、感動し「なぜか“やすらかさ”に包まれる感じがした」。それ以降登山中は常に、日常生活の中でも同じ感覚になることが増え、以前より心が穏やかになったという。
「裸足千日行」として、回峰を30年以上続けるつもりだ。「大事なのは、無理のないペースで毎年続けること」
速さを競うトレイルランニングのレースや効果的なポイント練習ではシューズを履く。月間平均230キロ走るうち、はだしで走るのは約120キロ。アスファルトを50キロ以上走るとさすがに足裏が痛くなる。
今年12月、福岡市にある公園を会場に、ゴムチップ舗装されたランニングコースをはだしで24時間走にチャレンジするイベントを企画中。「200キロは走りたい」。木延さんはその先に何を見るだろうか。

毎年回峰を終えると、自作の曲を歌う満行ライブを開く。今年は9月29日午後1時から大町市美麻のカフェ「花まめや」で行う予定。回峰の様子やライブの詳細は木延さんのインスタグラムで。