20歳未満の障害のあるお子さんの保護者には、特別児童扶養手当が支給される可能性があります。発達障害のあるお子さんも、障害の程度によっては該当することがあります(ただし所得制限があります)。
なにしろ発達障害の子育てには、通常の子育てよりもずっと時間と手間とお金がかかるのです。例えば自閉特性のあるお子さんには、有効な視覚支援に関するグッズや材料・機器の購入が必要です。
こだわりや感覚過敏のため、着られる服や食べられる物が限定されたり、せっかく買った物が使われず無駄になり、別の物を買わざるを得ないなんてことが、それはもう日常的に起こり得ます。
感情のコントロールが苦手で、怒って物を壊してしまい、修理が必要なこともあるでしょう。ADHD特性があり、習い事を始めるためにいろいろ買いそろえたのに、すぐに飽きて使わなくなってしまうなんてことも、よくあります。
逆にお子さんの興味やよい意味でのこだわりを追求したり、経験を増やすために出かけたり、買いそろえたりすることも、健やかな成長のために必要な経費です。いろいろが多数派とは異なるので、学校で共通に購入するような物が使えず、お子さんに合った学用品や衣料品を買いそろえなければいけないようなこともあります。
日常生活のさまざまな場面で、本人なりのこだわりが発動し、それに合わせて行動するために、時間とお金が必要になることが本当に多いのです。また、お子さんにサポートが必要なことも多く、親御さんが働く時間が思うように確保できず、収入面の制約を受けることがあるかもしれません。
とにかく時間もお金も、そして手間もかかるのが、発達障害のお子さんの子育てです。もし特別児童扶養手当の基準に該当するなら受給し、親子の笑顔のために使っていただけたらいいなと思います。詳しくは担当医や市町村の窓口にお問い合わせください。
【なないろキッズ】 #75 お金も時間も手間もかかる
- 2022/08/30
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ