女性だけの「劇団エル」豊科で旗揚げ公演

「紅葉鬼女伝説」楽しんで

女性だけの「劇団エル」が昨春、安曇野市に発足し、9月24日に市の豊科公民館ホールで旗揚げ公演を行う。団員は現在、40~60代の5人。他の劇団の応援を受けての上演だ。
「自分の劇団をつくりたい」。代表の山之内里冴(りさ)さん(61、同市穂高柏原)が子どもの頃からの夢をかなえた。宝塚歌劇団への憧れから、団員は女性だけにした。現在は、バレエ講師を務めていて、今後は歌や踊りも取り入れた演目の上演も視野に入れる。
「劇団エル」が旗揚げに選んだ演目は「紅葉(もみじ)鬼女伝説~過去から未来へ愛は千年の時を超えて」。長野市の鬼無里地区などに伝わる伝説を基に、山之内さんが書き下ろしたオリジナルだ。「地域に根ざした劇団を目指す。地域の人を元気にしたい」と意気込む。

家族や友人などの支えでスタート

長野市の戸隠や鬼無里地区に伝わる「紅葉伝説」では、平維茂(たいらのこれもち)に紅葉が退治されるが、「劇団エル」の「紅葉鬼女伝説~過去から未来へ愛は千年の時を超えて」は伝説と異なり、2人の悲恋物語が描かれている。時空を超えて現代の男女2人が関わる場面あり、ユニークなせりふありと、興味深い作品に仕上がっている。
21日、安曇野市の穂高会館でリハーサルが行われた。役者は衣装を着け、通しで動きやせりふ、照明などを確認する。衣装を着替える暗転の場面では、皆大急ぎだ。紅葉役の西山友紀さんは、着付けができる人の手を借り、着物を着替え。声を張ってせりふを言ったり、会場全体を動き回ったりと、熱がこもった練習が続いた。
「劇団エル」代表の山之内里冴さんは、子どもの頃から自分の劇団をつくることが夢だった。コロナ禍を機に漠然とした思いが形を成した。不安を抱え、明日どうなるかも分からない。やり残したことはないか考えたとき、劇団が頭に浮かんだ。「できるのなら、できるうちにやろう」。宝塚歌劇団に憧れていたことに加え、「他の劇団と違うことをしたい」思いもあり、女性だけの劇団にした。
現在、団員は山之内さんを含め5人。西山さん、古畑委子(ともこ)さん、野口春香さん、荒井ヒロミさんで、安曇野市や松本市、池田町の40~60代だ。荒井さん(51、池田町)は中学時代、演劇部だった。友人から山之内さんを紹介され団員になった。「芝居は演じるのも見るのも好き。表現する楽しさを感じている」と話す。
「今回の脚本は、車の運転中に、話が上から“降ってきた”」と山之内さん。20年以上前、紅葉の墓を訪れた際、「紅葉がかわいそう」と感じたことが核になっている。「自分が感じる本当の姿を伝えたい」と2週間ほどで書き上げた。
発足したばかりで1人2役もあり、ステージでの衣装チェンジはスピードが勝負だ。「劇団あまんじゃく」「演劇サークルえてるな」に客員を依頼した。「一緒に練習することで勉強になる」と山之内さんは話す。
家族、友人、知人、地域─と、いろいろな支えがあり、スタートを切った「劇団エル」。「えらいことを始めてしまった」(山之内さん)と感じることもあるが、最後まで走り切る覚悟はできている。そこに多くの人の応援は不可欠だ。
「紅葉鬼女伝説」はシリーズ化したいといい、「コロナが収束すれば鬼無里でも上演したい」。歌や踊りを入れる演目も考えている。多くの人の助けを借りたからこそ、地域に根付いた劇団にしたいという思いは強い。「団員も観客も、一人一人が自分の可能性を信じ、変化していくきっかけに。その変化を楽しんでもらえればいい」。9月24日、「劇団エル」が一歩を踏み出す。

【メモ】
「紅葉鬼女伝説~過去から未来へ愛は千年の時を超えて」公演情報9月24日午後2時、安曇野市豊科公民館。前売り一般1500円、小学生から18歳まで1000円。当日は300円プラス。チケット申し込みはこちらから。問い合わせlisamalia777@gmail.com