
30年務める最年長会員 今村芳巨さん(86)
松本市街地の観光名所を案内する「松本まちなか観光ボランティアガイド」として活動している会員は、ほとんどが60歳以上。定年退職後に始める人が多いといい、国内外から訪れる観光客や地元の小学生に、無報酬で松本の魅力を伝えている。人と話すことや関わることが、生きがいになっているという。
ガイドは予約制だが、観光客が多い春の大型連休や夏休みの期間中は、会員が毎日交代で大名町通りの市観光情報センター(大手3)に待機し、近くの松本城や周辺の市街地一帯を案内する。地域について学習する、市内の小学生から依頼を受けることもある。
待機中も通りかかる外国人客に「ウェルカムヒア!」と笑顔で声をかけるのは、最年長会員でガイド歴約30年の今村芳巨さん(86、同市島立)。「ガイドブックに載っていない知識を教えられるよう、意識している」といい、市の歴史や文化、老舗店などについて、人に聞いたり資料を読んだり。時には店主に直接尋ねるなどして知識を蓄えてきた。
定年後の人生を考え、もう一つの道として56歳でガイドを始めた。外国人ともコミュニケーションできるようにと、公民館講座で英語を学び直し、中国語も習った。「まだ知らないことが多いが、私は好奇心が旺盛。きれいな町・松本の魅力を伝えられるよう、今も勉強中」と意欲満々だ。
「礼状も励みに」楽しく 池上昌孝さん(75)
「もともと人と話すことが好き」と、定年後にガイドを始めた池上昌孝さん(75、同市渚)は15年目。全国転勤だった会社を退職してUターンし、市の歴史や文化の知識を問う「松本検定」に合格。「知識を生かし、時間を有効に使えれば」と始めた。
転勤で北海道から九州まで暮らした経験を基に、他県からの観光客ともすぐに打ち解ける。案内した人から感謝の礼状が届くこともあるといい、「自分が楽しいからやっているが、すごく励みになる」と笑顔。「(観光客から)『松本にまた来たい』という言葉を引き出せたら最高。足と口が動く限りは続けたい」と話す。
【松本まちなか観光ボランティアガイド】事務局は松本コンベンション協会。前身の松本観光協会が2002年、市中心市街地の魅力を知ってもらおうと始めた。現在、市内外の50~80代の約30人がガイド登録し、予約制(繁忙期は市観光情報センターに常駐し、空いていれば予約なしでも対応)で松本城や縄手通り、中町通り、一帯の湧き水などを、観光客と一緒に歩きながら案内する。同協会TEL0263・39・7176