【野遊びのススメ】#35 蓼川で「クリアボート」

ゆったり自然と触れ合う

どちらかというとインドア派で、体力も自信なし。そんな記者でも気軽に自然と触れ合えるアクティビティーは?と探して見つけたのが「クリアボート」。大王わさび農場(安曇野市穂高)近くを流れる蓼川(たでがわ)で、乗り合わせた人が気持ちを一つにパドルをこぐ姿はとても楽しそうだ。安曇野气船(同)が今季3年ぶりに運航を再開したボートを体験した。

体力に自信なくても楽しめる

受け付けを済ませ、ライフジャケットを着けたら早速ボート(14人乗り)へ。同乗者は7人(別にガイド1人)。まずは上流を目指し、「ワンツー、ワンツー」の掛け声に合わせ、パドルを動かす。1人なら大変だが、複数人いるのでそれほど疲れない。
150メートルほど上った所で手を止め、ガイドの説明を聞く。晴れていれば正面に常念岳が見えるというが、この日は雲で見えず「残念!」と一同。この川は湧き水が流れるので、水温は1年を通して平均12~14度という。
朝晩は涼しくなったが、日中はまだ暑い日も。クルミや柳などの枝が、川の上に張り出し、涼しげな木陰を演出してくれる。
「安曇野わさび田湧水群」は、環境省の「名水百選」に選ばれたように川の透明度が抜群だ。水深は1メートル未満、流れに身を任せる水草もしっかりと見られる。時々吹き抜ける風は心地よく、別世界にいるよう。水に素足を浸す「足水」も体験できる。
しばし楽しんだ後は、方向転換して下る。しばらく進むと右岸に、安曇野のポスターや写真作品などでもおなじみの水車小屋が見える。黒澤明監督の映画「夢」に登場したものだ。間近に行けるボートからの眺めは、まさに“映えスポット”だ。
揺られながらぼーっとしていたら、エメラルドグリーンの体に黒い羽のトンボを草むらに見つけた。安曇野气船の宮原毅社長(53)に後で尋ねたら、「県が準絶滅危惧種に指定しているアオハダトンボの仲間では」。
20分ほどの体験で、マイナスイオンをたっぷり浴び、心も体も癒やされた。宮原社長は「ここは天然のクーラー。足水体験は、静水だからこそ。安心して本物の自然が楽しめる」と力を込める。季節ごとにいろいろな景色が見られそうだ。

【安曇野气船のクリアボート】予約不要。受け付けは大王わさび農場駐車場横の緑色テントで午前9時~午後1時。木・金曜定休(9月22、23日は営業)。対象は3歳以上。3~11歳1400円、12歳以上1800円(同農場ソフトクリーム引換券付き)。風雨で中止あり。運行状況などはホームページ。TEL090・4442・2967