鳥獣対策「SARUSARU大作戦」で暮らしに安心を

不安解消へ積極的な活動を

農作物を荒らすだけでなく、猿が網戸を開けて家の中に入り、食べ物をあさったり、ふんをしたり。猿にかみつかれたといった事故や熊の目撃情報もあり、生活に不安を抱える住民も多い。
そんな状況を打破しようと、安曇野市穂高有明の立足地区の住民らが立ち上がり8月21日、放棄された果樹を伐採、樹木の枝打ちや草刈りなどを行った。ある住民が、この活動を称して「SARUSARU(猿去る)大作戦」。
立足区は10月に、高齢者や障がい者のための支え合いの制度を立ち上げようと準備する。その中に、有害鳥獣対策活動も組み入れられそうだ。住民同士がしっかり手をつなぎ、必要な人と場所に、迅速に対応するフットワークの軽さを整える。伐採などは今後も続けていく方針だ。

猿の被害深刻化伐採や除草進め

8月21日、安曇野市穂高有明の立足地区で作業が行われたのは、以前はリンゴ畑や栗畑だった場所約9900平方メートル。半分以上が農地で、放棄された果樹が残り、山林、原野などもある。参加者は、立足区第7常会の住民有志や区長、区長経験者、地区外のボランティアなど約20人。チェーンソーで木を切り倒す、草を刈る、切った木を運ぶ―など、それぞれができることで力を合わせた。
この日伐採した木は500本ほどになった。事前の準備で木を切り、後片付けなどをした人を含めると延べ約40人が作業に関わったという。ニセアカシアやリンゴといった大きな木は9月4日、木の扱いにたけたグループ、安曇野樹楽会に依頼して伐採した。
第7常会では、散歩中に猿に脅かされ逃げようとして転倒する、引っかかれる―といった被害が3年ほど前から深刻になっている。家の中に入られ食べ物を取られたケースもあり、熊の目撃情報もあるという。
稲垣次代さん(82)も、重いガラス戸を開けて猿に侵入された。「大きな猿で、距離は2メートルほどしかなく、怖かった。奥に来られないように戸を閉め、隣の家へ駆け込んだ」と、遭遇した時の様子を話す。
区は、鳥獣対策の実務を担う支え合いの制度をつくるに当たり、6月にアンケートを実施。第7常会の住民の半数以上から「猿が怖くて、安心して暮らせない」と回答があったという。
「見通しを良くすれば、猿が頻繁に出入りできない環境がつくれるのではないか」。放棄されたリンゴや栗があり、草が茂るなど手入れがされていないことから、所有者と話し合い、木を伐採したり、下草を刈ったりすることにした。

住民が力合わせ地域の環境整備

10月には支え合いの制度を立ち上げようと準備中で、高齢者や1人暮らしの人、要介護者、要支援者などから依頼があれば、雪かき、草取り、ごみ出しなどに対応する。「猿の被害が大変」といった声を聞いたら、今回のように住民に声をかけ、自分たちから積極的に地域の困り事の解決にも乗り出すという。
8月の作業は、住民の「何とかしてほしい」という声と、区の「住民の声に応えたい」という思いが一致し実現した。効果はまだ分からないが、今後も活動は継続していく予定だ。小林慈彦(やすひこ)区長(69)は「個人や家庭を対象とした福祉だけでなく、地域の環境整備にも踏み込んでいかないといけない」と力を込める。
誰もが安心して暮らせる地域を目指し、そこに暮らす住民が力を合わる―。「今後もかゆい所に手が届く活動を模索していく」と小林さんは語った。