畳の縁で「ご縁グッズ」 村松畳店5代目のユニークな挑戦

キーホルダーやポーチ、がまぐち、マカロン形ケース―。思わず「かわいい」と手に取ってしまいそうなグッズの材料は、畳の縁(へり)だ。作っているのは村松俊弥(としひこ)さん(松本市梓川倭)。創業150年余の老舗畳店、村松畳店の5代目だ。
畳縁(たたみべり)というと和柄をイメージしがちだが、市松や麻の葉模様など伝統的な柄の他、水玉などポップなもの、ヒョウ柄、迷彩柄、夏バージョンの枝豆とビールなど、ユニークなデザインも多い。
村松さんが畳縁の雑貨を作り始めたのは7年前。住環境の変化などから、少しでも畳に興味を持ってもらおうと取り組み始めた。
最近は、縁(へり)と縁(えん)を掛け「ご縁グッズ」とし、クラフトフェアなどへも積極的に参加している。「ご縁を繋(つな)ぐ畳縁」「しあわせを紡ぐ和の心」がモットーだ。

幅8センチの畳縁から、さまざまなグッズが生まれる。村松俊弥さんは、畳に親しんでもらおうと7年前からグッズを作り始めた。最初はカードケース、ペンケースだったといい、手触りの良さ、使いやすさ、丈夫さから評判になった。
アレンジし、キーホルダーやティッシュケースなども誕生。ポーチやがまぐちなどファスナーや金具がついたものは、作家に依頼し作ってもらっている。最新作は、直径3センチほどのマカロン形ケース、ご縁つながりで作ったお守りだ。
ようじ入れやカードケース、ポストカードも飾れるミニ畳などは330~1100円。ポーチは1700円。日によって人気商品は異なるが、多い日には30個ほど売れる。
村松さんは、父親の恒宏さん(80)の背中を見て育ち、畳職人の世界へ。不景気に加え、住宅が洋風化するなど難しい時期で、恒宏さんも「考え直したら」と心配したが、迷いはなかった。他の畳店に修業に行ったり、手伝ったりしながら技術を磨き、現在は1級畳製作技能士、職業訓練指導員の資格を持つ。
畳職人の奥深さや難しさ、物作りの大変さを実感したが、仕事への誇りと畳への愛情は強い。ご縁グッズを作り始めたのも、畳の素材に触れ、手触りやデザインの豊富さを知ってもらう狙いだった。
村松さんが扱う畳縁は50種以上。本業の合間にグッズを作っていたが、今年4月から、積極的にクラフト展などに参加することにした。コロナ禍で、仕事が右肩下がりになる中、もっと多くの人に見てもらおう、原点に戻ろうと思ったのがきっかけだ。それに合わせ、新商品も作った。
会場では「畳職人が本職なんですか?」と驚かれたという。会場に来た人から畳替えの注文が入るなど、本業につながったこともある。
畳職人、クラフト作家と二足のわらじを履く村松さんだが、実はもう一つの顔がある。ミュージシャンだ。2人組ロックユニット「タマッシー」で、tossy(トッシー)として活動。ギターやドラムなどを演奏する。コロナ禍でしばらく休んでいたが、徐々に活動を再開。年内か年明けにはライブを開く計画だ。
イベント開催が戻りつつある中、畳の需要も少しずつ戻っていると感じている。「やっと人と触れ合える場ができた。グッズをきっかけに、今後、畳や和室がもっと身近になればいい」と村松さん。「ご縁グッズ」のさらなる効果を期待している。