リアルに虫を再現 アクセサリーに

昆虫に興味を持ってほしい

アゲハなどおなじみのものから、ツマグロヒョウモン、長野県に生息する絶滅危惧種のオオルリシジミなど、国内のチョウやガがリアルに再現される。「工房sasagani」の佐々木悠乃(ゆの)さん(26、松本市松原)が、手作りしているアクセサリーだ。
母親が虫好きで、自宅の庭にいるチョウの幼虫を育てるなど小さい頃から虫に親しんできた佐々木さん。高校時代に体調を崩し、現在も自宅で療養生活を続ける中で、自身が身に着けたいと思う虫をモチーフに、アクセサリーを作るようになった。
生きている本物になるべく忠実に作るのが佐々木さんのこだわり。チョウは雌雄、羽の表と裏の模様の違いも描き分け、鱗りん粉ぷんも表現するなど、丁寧に仕上げる。どれも、虫への愛情が詰まった一点物の作品たちだ。

庭が創作の源 愛情注ぎ観察

おなじみのモンシロチョウやアゲハチョウ、黄褐色に斑点が特徴のツマグロヒョウモン。松本市の佐々木悠乃さんの自宅庭には、チョウをはじめたくさんの昆虫がやってくる。これらが佐々木さんの創作の源だ。
小さい頃から工作や絵を描くのが好きだったという佐々木さん。20歳の頃から自宅でイヤリングやピアス、ブローチなどのアクセサリー作りを始めた。最初は一般的なかわいらしいものや植物をモチーフにしたものが多かったが、次第に「自分が着けたいと思う虫のアクセサリーを作るようになった」。
その工程も手が込んでいる。自身で観察したり、ネットの写真や図鑑を参考にしたりして、フリーハンドで下絵を描く。それをパソコンに取り込んで彩色、印刷して切り抜き、退色しないよう加工し、ジェルネイルなどに使われる樹脂で固める。そこに金具を付けて仕上げる。
チョウは本物に近いリアルさを重視。雌と雄で模様が違うものは両方必ず作り、樹脂でふっくらした立体感を出したり、鱗粉の粉感を出すためにラメを使ったりして工夫する。販売するピアスの台紙にも、チョウの学名や特徴などを記入。「昆虫が好きな人が増えてほしいし、実物にも興味を持ってほしい」との願いからだ。
一方で、佐々木さんの“推し”は、チョウではなくガだ。一般に地味で嫌われ者のイメージがあるが、「胴体がふっくらしていて、顔もかわいい。毛がもふもふしていて癒やされる」と細かな観察眼で愛情を注ぐ。

作品への思い 屋号に込めて

体調が安定せず、自宅で過ごすことが多い佐々木さん。「しんどくて嫌だなと思う時もあるが、作品をいろんな人に見てもらったり、コメントをもらったりすると、すごくうれしい」と、アクセサリー作りがライフワークになっている。母親の史美(ひとみ)さん(55)も、「やりたいことをやって社会とつながることができて、ありがたい。いろんな人たちに支えられている」と娘を温かく見守る。
現在試作している最新作も、スズメガをモチーフにしたもの。三角形の体形に、深い緑色やピンクがポップで鮮やかだ。若い女性にも手に取ってもらえたらと期待する。
屋号の「工房sasagani」は、平安時代に和歌の枕詞として使われた、細蟹(ささがに)から取った。クモの古名だが、織姫の別名で天の川をイメージさせることもあり、「一個一個が星のように光るような作品を作りたい」との思いを込める。
ネットショップの「minne(ミンネ)」のほか、松本市開智1の「信州松本城町文庫」でも販売。詳細はインスタグラム(いずれも「工房sasagani」で検索)で。