【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#37 しめ縄のヒミツ

収穫の秋、素晴らしい響きですね。この1年の苦労が報われる季節です。この時期、私の住まう塩尻市広丘吉田の一画は一面黄金色になります。「黄金の国ジパング」とは、金が採れることを指したのでしょうが、私にはこの景色を見て思わずつぶやいたのではないかと思えてなりません。
そして、収穫にうれしいのが稲妻です。稲妻の多い年は豊作といわれます。雷雨が窒素を降らせるからです。
さて、そこで思い出すのがしめ縄。農業者でもあった宮沢賢治は、花巻農学校の授業で上手に説明してくれています。畑山博著「教師宮沢賢治のしごと」(小学館)によると、こんな感じです―。
稲妻は空気中の窒素を分解し、雨に乗せて地中に降らせてくれる。しめ縄の太い縄は雲、下がった稲わらは雨、そして幣は稲妻を表している。
知らなかったでしょ。私も百姓をしなければ、稲妻を歓迎してなどいなかったと思います。稲妻は、稲の配偶者だったんですね。昔は神とは自然のことだったのでしょう。今年も八百万の神様に感謝しました。
ゴールデンウイークに帰省した家族と総出で田植えをした田んぼは、9月の中旬にはコンバインで収穫が終わっています。6月に田植えをした小太郎米は、中干しも順調に経て、熟して稲刈りを待つばかりです。毎年お手伝いいただける人が増えて、この時期は毎週末にぎやかに収穫祭です。新米を食べるのが楽しみだ!