
上松町小川の塚本一清さん(89)はゴルフの“達人”だ。シニアプレーヤーの年代となる50代から趣味で始め、多くの大会で優勝。1ラウンド(18ホール)を自身の年齢以下の打数で回る「エージシュート」をこれまで50回以上達成するなどゴルフ愛好家の憧れの実績を持つ。現在も週に1回ほどコースで楽しみ、エージシュートも更新中だ。
集中力切らさずプレー
御岳ゴルフ&リゾートホテル(木曽町三岳)のコースでドライバーを構え、スイングする塚本さん。体の動きに一体感と美しさがある打ち方で、「ボールを飛ばそうという気持ちがはやると駄目。確実にスイングができてボールを運ぶという感覚が大切」と、アマチュアゴルファーなら心得ておきたいこつを明かす。
ゴルフ愛好家の仲間と木曽郡内のゴルフ場でラウンドしたり、コンペに参加したり。グリーン周りの近い距離からピンを狙うショートゲームが得意で、プレーの後半でも粘り強く集中力を切らさないのが好スコアを出す秘けつでもある。
公務員だった塚本さん。若いころからスポーツが好きで、早起き野球のピッチャーや、スキーのインストラクターなども経験した。年齢を重ねるうちに続けられるスポーツが限られ、「退職後に個人でも楽しめるスポーツを」とゴルフを選んだ。
練習場に通い、基礎を身に付け技術を磨いた。60代から競技に本格的に取り組み、「県知事杯アマチュア選手権シニア大会」で複数回優勝するなど県内のトップアマに。
エージシュートは76歳の時に74のスコアで初めて達成し、以来、毎年更新。傘寿を過ぎても84歳の時は9回、88歳では8回と、年を重ねるごとに熟練の技がますますさえ、昨年12月には通算50回を達成した。
20年以上、満足できる内容でプレーをしてきたが、最近は足腰の衰えを感じるようになったという。体力を維持するため毎朝3時に起床し、近所をウオーキングしてからラジオ体操をするのを日課にしている。
妻の瑛子さん(86)は「毎日、素振りをしたりテレビでプロのプレーを研究したり。とても熱心です」と尊敬のまなざしで見守る。
思うようなスコアが出ない時は、年齢を感じることもあるが、課題も次回へのモチベーションと前向きに捉える。
「ゴルフのおかげで充実した日々が過ごせる」と塚本さん。「これからも体が続く限り、友達に迷惑がかからないよう努力しながら続けていきたい」。まだまだ現役プレーヤーだ。