「自然と融合した良質な音楽を」白馬村有志の取り組み

白馬ミュージックサポートアソシエーション

白馬村の景観や自然と融合した良質の音楽に住民が身近に親しみ、日常に根付かせたい─。そんな思いを持つ村民有志の「白馬ミュージックサポートアソシエーション」(HMSA)が、活動を続け5年になる。村で演奏を希望する音楽家をサポートし、役場ロビーでのコンサート、著名な音楽家の演奏会なども企画してきた。
「農作業の合間を縫ってか、長靴姿で演奏会に来てくれた人がいる」「行きつけの理髪店で、夏の音楽祭の音楽監督が話題になった」。代表の山口郁夫さん(67)と中心メンバーの蓮井英史さん(71)、増井恵子さん(64)は、村民のちょっとした変化を、うれしそうに語らう。通年型リゾート地を目指す白馬で、誘客にもつながる音楽文化の振興を推し進めようと、地道な取り組みを重ねる。

演奏家への支援村民に聴く機会

2017年に立ち上がった白馬ミュージックサポートアソシエーション(HMSA)。中心メンバー3人、計6人の白馬村民で活動する。
「この景色を見ながら音楽を奏でたいという人はたくさんいるはず」。HMSA代表で、村内で宿泊滞在型のピアノ練習スタジオを開く山口郁夫さんは実感している。白馬を気に入った著名なバイオリニストが主宰する合宿セミナーが長年続いていたり、滞在してレッスンに励む演奏家たちが訪れたりしているからだ。
しかし、地元でサポートやコーディネートを担う人がいないと、会場手配や広報などの手間や負担が大きく、演奏機会を設けにくいのが現状。村内各所で演奏会が開かれていても、地元住民に情報が行き渡りにくいという課題もあった。
そんな中、演奏家たちの思いをかなえる支援と、村民と素晴らしい音楽を共有する環境を身近につくり出す活動を始めた。
20年以上の歴史があり、近年は夏に白馬村で開催されている若手演奏家の育成を目指す「NAGANO国際音楽祭in白馬」のサポートも、取り組みの一つだ。セミナー講師を務める一流の音楽家や受講生が出演するコンサートは、音楽監督を務める東京芸術大前学長、澤和樹さんの親しみやすいトークも交えた内容が好評で、村民が気構えずに音楽を満喫する楽しさに気付く一つの機会になってきた。

白馬に届けたい音風コンサート

HMSAは18年から、村役場ロビーを会場に無料のミニコンサートを定期的に開き、地元音楽家らの演奏を村民が身近で楽しめる場を設けてきた。19年度からの3年間は、県の地域発元気づくり支援金を活用。コロナ下では教会の庭やホテルのテラスなど、村内各所で無観客の音楽演奏を録画し、CATVで放映した。
昨年からは、海外でも活躍するピアニストの花房晴美さん、碓井俊樹さんらが出演した有料のコンサートも開く。「音楽の風を白馬に」との思いから、これらの演奏会は「音風(おとかぜ)コンサート」と名付けた。
活動を続けるうちに、会場の貸し出しやチラシ配布、当日の会場設営、アナウンスなどに協力してくれる人が地域に増えてきた。
「関わりながら音楽を楽しむ人の輪が広がってきたことはうれしい」と増井恵子さん。蓮井英史さんは「音楽祭のセミナー受講生と親しくなり、温かく応援してくれる村民もいる。成長して故郷のように帰ってきてほしい」と願う。山口代表は「着実にポジティブな方向に進んでいると感じる。一方で、資金的な厳しさに直面している」といい、賛同者や支援のさらなる広がりを模索している。
直近では、湘南エールアンサンブル(神奈川県)が10月9日に村内で開く「白馬の秋、室内楽の調べ」の開催に協力する。

【メモ】
【演奏会「白馬の秋、室内楽の調べ」】10月9日午後2時、白馬村のウイング21。白馬ゆかりのピアニストと湘南エールアンサンブルの弦楽奏者の共演。2000円(高校生以下500円)。当日券は200円増し。全席自由。未就学児の入場不可。チケットぴあ、ウイング21などで扱う。事務局TEL090・3232・4590