【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#38 稲子と書いてイナゴ

イナゴは、漢字では「稲子」です。稲を食べてしまうので害虫といわれ、農薬で駆除する対象です。
小太郎米の田んぼは、ご近所から遅れること2週間で稲刈り真っ最中です。都会からお手伝いに来てくれたご家族のお子さんたちは、はぜ掛けに飽きたら無農薬米の田んぼの虫捕りに大興奮です。カマキリやショウリョウバッタ、トノサマバッタ、赤トンボ。その中でも小さくてすばしっこくて捕まえづらいのがイナゴのようです。
私の住む塩尻市は海から最も遠い地域です。なんと言っても「ソルト(塩)エンド(尻)」ですから。太平洋と日本海から塩の道があります。本州の分水嶺と言われるところも塩尻にあります。動物性のタンパク源として海産物が当たり前に流通するのは、ごく最近のことなのかもしれません。
さて、イナゴ。栄養価を調べると、良質のタンパク質が豊富で、ナトリウム、銅、ビタミンB2、鉄、ビタミンE、亜鉛、葉酸。とても栄養価のバランスの取れた食材のようです。そこで、害虫で稲の被害に遭っていた中村家の祖母は考えました。子どもに捕らせて食用にすれば、稲の食害は減り、人間の身体も喜ぶ。一石二鳥じゃないか。
友達と転がりながらイナゴを捕ってお小遣いももらえる、もう一つの収穫祭だったと想像するとほほ笑ましいです。あっ、丈夫で口の中に刺さる後ろ足を取るまでが仕事だったと聞きました。