【働くママ・パパ】母親向け食事宅配サービス「mamaeats」本柳寛子さん

「心」にも栄養届けたい

松本市の本柳寛子さん(36、野溝木工)は、今年4月に母親向けの会員制食事宅配サービス「mamaeats」(ママイーツ)を始めました。起業の原点は自身の体験。仕事に子育てにと奮闘しています。
★体験を機に起業
浜松市で生まれ育った本柳さんは、京都の大学を卒業後、大阪の専門学校を経て東京で就職。2015年にワーキングホリデーでドイツ・ベルリンに渡り、デザインスタジオで働きながらイベントの企画などに携わりました。
19年に帰国し、翌年、大学時代の同級生誠実(まさみ)さん(37)と結婚。その年に、おなかの子どもと一緒に夫の勤務地の松本市に移住します。
知人から「出産してからが大変になる」と聞いていたため、産後の体調回復や母乳育児に備え、食事宅配サービスの情報を集めます。業者を探しては注文してみますが、納得のいく品やサービスに出合えません。そこで「いずれ自分でやろう」と、起業を視野にプランを練り始めます。
21年に長男躍ちゃんを出産すると、市内でデリバリーをしていた知人の協力を得て、「ここは」と思う店に食事を注文。ママ友と試食を繰り返します。
ある時、届いた弁当に料理家直筆の手紙と1本の花が添えられていました。「求めていたのはこれ。こういうお弁当をママたちに届けたい」と創業を決意。長男が1歳の誕生日に松本税務署に事業届を出し、「mamaeats」をスタートしました。
★食や環境に配慮、ママの利便性も考えて
幼い頃から食べることが大好きだった本柳さん。学生時代に働いた飲食店や海外生活での経験で、心身を癒やしコミュニケーションツールでもある「食の力」を信じるようになったと言います。
会員に届けるのは、無農薬野菜を中心にした料理を提供する「Alpsgohan」(アルプスごはん、深志)と「atelierC」(アトリエシー、中央4)のお弁当です。料理と同様に容器も重視。電子レンジや食洗機対応のリユース容器「ARUPAKKE(アルパッケ)」を使います。
宅配は原則手渡しですが置き配にも対応。出発時におおよその到着時間をLINE(ライン)で通知します。「配達先での会話も重要。相談や息抜きの場になれば」と心配りも忘れません。
また、9月までは1人で配達していましたが、10月からは子育て中のママらに業務委託し、「デリバリーママ」として一緒に配達してもらっています。食育ワークショップやイベントなども行う計画です。
★仕事と育児の工夫
本柳さんが宅配する際は、躍ちゃんを連れて提携店で弁当を受け取り、配達先を一緒に回ります。「会員さんと立ち話をしていてふと見ると、いつの間にかその家の子どもと遊んでいて…。そんな姿を見るとうれしくなります」
銀行や市役所などへの外出、事務仕事に専念したい時などは、近所の託児所か山の子保育園の一時預かりを利用。息子を連れて公園などに出かけるのが日課です。「いつか『かっこいいお母さん』と思ってもらえるよう、生き生きと働いていたいです」

【mamaeats】弁当(1000円前後)はおかずとご飯、カレーなど。年会費1200円、配達料一律500円が必要。宅配は松本駅から3キロ圏内。会員とデリバリーママを募集中。詳細は = ウェブサイト