広く愛された絵本 故・谷内こうたさん回顧展

松川村の安曇野ちひろ美術館で12月4日まで、2019年に71歳で他界した絵本作家、画家の谷内こうたさんの回顧展「谷内こうた展風のゆくえ」が開かれている。世界的に評価を受けた絵本の原画をはじめ、雑誌・広報誌の表紙絵、初公開のタブロー(1枚絵)など幅広い画業を、計約140点の作品と資料で紹介している。
谷内さんは美術大を中退し家業の染色を手伝っていた22歳のころ、「週刊新潮」の表紙絵などを手がけた叔父の故・谷内六郎さんの勧めで初めて描いた絵本の絵が編集者に認められ、絵本デビューした。
絵本は自由な世界だと知ると、少年時代の思い出を基にした「なつのあさ」でボローニャ国際児童図書展のグラフィック賞を日本人初受賞。そぎ落とされた絵と俳句のような短い言葉で展開する斬新な絵本は、国を超えて愛されてきた。
その後渡欧し、四季折々の光を捉えて現地で描き続けた油彩の風景画なども展示。東日本大震災による原発事故に心を痛めて描いた最後の絵本「ぼくたちのやま」の原画など、見応えのある作品が並ぶ。フランスの幼稚園に通い出した娘に毎日のように描いた、ユーモラスで優しい父親の姿がにじむ絵手紙も印象的だ。
同館の担当学芸員は「光や風、空気を感じ取って描こうとする気持ちは、どの媒体の作品にも通じているのでは」と話す。
午前10時~午後5時。水曜休館。900円、高校生以下無料。TEL0261・62・0772