山野食材取り入れ食事から健やかに

芽吹き育つ生命力吸収しよう

「これ、おいしそうじゃない?」「うん」
野で摘んだタンポポの葉を手に、談笑する女性二人。明るい声の主は、薬剤師で国際中医専門員の山本美嶺里(みねり)さん(40、白馬村北城)と、数年前までフレンチレストランと宿を営み、食育アドバイザーの資格を持つ北澤節子さん(55、同)だ。
二人は「SATOYAMA Re:born(里山りぼん)-北アルプス山野食材研究会」を結成。身近な野草などの山野食材や旬の地元食材を、健康を考えながら食事に取り入れ、白馬の里山の魅力も再発見しようと、学びや実食、採取、調理を体験する催しを開いている。人気の「フレンチde薬膳」は10年目になる。
「薬食同源」の理論に基づく、「野のもの」と健康を結ぶ活動を取材した。

野のもの豊富な里山の魅力発信

スベリヒユやオオバコ、ハコベ、タンポポ、ドクダミ、スギナ…。雑草として迷惑がられる植物にも、実は体にいいとされる働きがあり、昔から健康に役立てられてきた。身近な里山には、体や元気を支える「野のもの」が豊富にある。
白馬村の山本美嶺里さん(同村出身、太田薬局薬剤師、県薬草指導員)と北澤節子さん(小谷村出身)が立ち上げた「SATOYAMA Re:born-北アルプス山野食材研究会」は、山野食材と健康を結び付け、里山の魅力を広める活動に励む。食べることが大好きで、食で体を健康に保つ「食養生」の大切さを伝えたい-という共通の思いを持つ二人が出会い、意気投合した。
2013年から続けている催しが、村内のシェフとコラボレーションする「フレンチde薬膳」だ。旬の食材や山野食材の体にいいとされる働きや、中医学(中国の伝統医学)の観点による季節の養生法などを、山本さんが話す。続けて、薬膳の考えに基づいた当日限定のフレンチのコース料理を楽しむ、という内容だ。過去にはヨモギを練り込んだヌイユ(麺)・オオバコ添えなどのメニューが出された。
二人は使う食材の提案や試食をしながら、シェフと一緒にメニューを決める。近隣の女性を中心にリピーターが多く、参加者同士で食や食材の情報交換で盛り上がることも。「季節のものを使った前菜のお皿には、その時季の白馬の風景が広ったよう。元気が出た、という参加者の声がうれしい」と山本さんは喜ぶ。

野草摘んで調理ありがたさ実感

昨年から始めた催しは「摘み草さんぽ&Cooking」。春から秋にかけてほぼ毎月、村内を歩いて季節の野草を摘み、野外で調理して味わう催しだ。幼少期から親と一緒に山に入り、野草や野菜、食に詳しい北澤さんが、毒草の見分け方や摘む場所の選び方、注意点を含めて解説。里山散策の楽しさも味わえる。東京から参加する人もいるほどの人気企画だ。
9月の回は、野草が苦くなったり硬くなったりする季節のため、クワの葉やオオバコ、ドクダミ、ヨモギ、スイバ、イヌガラシなどをゆでてピューレにし、本格的なスパイスカレーを作って味わった。自ら摘み、調理して味わう体験は、日々の生活での実践につなげやすい。北澤さんは「毎年元気に出てくる野草や野のものの生命力を取り入れ、元気な体を維持できればいい」と話す。
山本さんは「季節を感じながら里山で暮らす人たちこそが、知識や経験を得ることで、野山の恵みのありがたさや魅力を改めて認識できるのでは」とする。
次回の「フレンチde薬膳」は11月18日午後6時、プチホテルアンシャンテ(同村北城)で開く。スギナなどを使う予定。4500円。定員約20人。参加申し込みは太田薬局TEL0261・72・5593。活動の詳細はフェイスブックで。