色鮮やか“漆流し”オルゴール-信州の名工・荻村幸稔さん

箱の表面を「漆流し」という特殊な技法で仕上げたオルゴールが、塩尻市の奈良井宿にある「茶房こでまり」に展示されている。漆器のイメージを覆すカラフルな抽象画のような見た目で、来店客の耳と目を楽しませている。
同店で11月28日まで開催中の「フジゲン(松本市)楽器展」に並ぶ一品。漆を塗ったのは「信州の名工」(卓越技能者知事表彰受賞者)で奈良井宿の漆器工、荻村幸稔(さきとし)さん(79)。
漆流しは、荻村さん独自の技法。陶芸で釉(ゆう)薬(やく)を掛け流す技法を見て、漆器でも偶然を生かした仕上げができないかと、数年前に考案したという。
「筆にぼったり漆を付けて表面に流す。どんな模様になるかは、漆の意思に任せる。同じものはできない」と荻村さん。流した漆の厚さなどにより、乾いた時に縮みができる。気を使うところだ。
今回出展されたオルゴールは、色漆を使った2点。それぞれ3色、7色で彩られた模様が、音色を引き立てる。「自然にできた漆の流れを見ながら、心地よさを感じてもらえれば」と荻村さん。不定休。同店TEL0264・34・3072