
木のぬくもり特別な空間
松本市のアルプス公園(蟻ケ崎)東に8月オープンした体験型宿泊施設「マツモトサトヤマドアーズ」(岡田下岡田)。「ちょっとひと味違う、里山の遊びと暮らし」をコンセプトに、モンゴルの遊牧民の住居「ゲル」での宿泊、燻製(くんせい)作りや自分で火をおこしてご飯を炊く体験などができます。中でも一押しは「寝落ちするまで遊べるおもちゃ館」こと「松本わらべ館」です。現地を取材しました。
約800平方メートルの敷地に立つ木造の建物2棟の一つが本館で、「松本わらべ館」はその一角にあります。宿泊者はもちろん、日帰りでも利用できます。
木の優しい香りに包まれながら進むと、目の前に天井まで届く樹齢約500年のケヤキが。幹には親子で入れるくらいの穴があり、中は天窓から光が注いでいます。木に付いているロープで登ることもできます。
木のおもちゃが並ぶスペースには、ドイツやフランスなど海外製を含む60種類もの品が並びます。積み木、コースター、調理セットなどのほか、遊びのスペシャリストの投票で決まるおもちゃの賞「グッドトイ」(NPO法人芸術と遊び創造協会主催)で選ばれたボードゲームやカードゲームもあります。
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オーナーの赤沼留美子さん(50、松本市)は、中高生の娘3人を育てるママ。わらべ館を造るきっかけは、当時5歳だった長女との約束です。
12年前、赤沼さん一家は鳥取市に住み、童謡・唱歌とおもちゃのミュージアム「わらべ館」に度々出かけていました。夫の転勤で松本に引っ越すことが決まり、「いつか同じような遊び場を松本にも」と決意。子育てをしながら、自身が所有するドイツなどの木のおもちゃ60点を用いて遊ぶイベントを10年前に始め、現在に至ります。
「ようやく約束が形になりました。17歳の娘は覚えてませんでしたが、『すごいね』と言っていました」
わらべ館の館長、鈴木千加さん(60、下諏訪町)は、孫がいる先輩ママで保育士の資格を持っています。
「子どもたちが思い切り遊び、ママパパたちはリラックスできるように寄り添うことをスタッフ全員で心がけています。普段と違う環境で子どもの成長や新たな一面に気づく親御さんもいて、帰り際に『帰りたくない』と言われることも。お子さんと親御さんの笑顔を見られたりすることが励み。地元の親子に気軽に利用してほしいです」
息子(2)と訪れた30代のママは「窓が多くて明るく、カフェのような雰囲気ですてきです。木のおもちゃがたくさんあって温かみがあり、とても気に入りました。泊まってみたいです」。
2歳と9カ月の男の子のママ(35)は「壁も床も木材のいい香りがして、木に囲まれているような感じ。木のおもちゃや床で思い切り遊ばせられるのがうれしいです」と話していました。
【松本わらべ館】
▽利用時間水曜日を除く平日午前11時~午後2時(90分間の2部制) ▽利用料大人(中学生以上)500円、子ども(小学生以下)100円、0歳児無料 ▽予約インスタグラムから ▽問い合わせTEL0263・87・3943(水・土・日曜、祝日休み)