吃音(きつおん)は、話し言葉が滑らかに出ない発話障害の一つです。「どもり」という言い方もありましたが、差別的な意味合いが含まれることがあるため、最近は公的には使わなくなっています。
吃音には、語頭を繰り返す連発(ぼぼぼぼぼくは)、語頭が伸びてしまう伸発(ぼーーーーーくは)、言葉の始めが詰まって出なくなってしまう難発(・・・・・っぼくは)があります。2~4歳ごろに発症しやすく一過性には5%ほどにみられます。小学生以降も残っている方が1%ほどです。原因は特定されていませんが、体質的な要因が大きいと考えられています。
吃音があると、本人は話したいことが頭の中にあるのに、スムーズに発話できないというもどかしさがあります。吃音があるときに周りができることは、本人が話すのをゆっくり待つことだけです。「ちゃんと話して」「慌てないで」「落ち着いて」などの助言は的外れでかえって吃音のある方にはプレッシャーやストレスになることがあります。
学校などでは、本人と話し合った上で▽吃音が出やすい語と出にくい語があるため、発言・発表時の音読は読みやすい文章を担当させる▽リズムを合わせると吃音が出にくいことがあるので、2人以上で一緒に読む▽口頭でなく筆談・板書で発表する|などの工夫をしてください。
また、吃音について担任がクラスメイトに説明し、話し方をまねしたり、からかったり、「慌てないで」「頑張れー」など、良かれと思って励ましたりせず、話し終わるまで普段通りに待っていてほしいといったことなどを話してもらうこともいいかもしれません。本人の意思を尊重してください。
吃音自体のリハビリや、心理面のサポート、学校や周囲の人への説明の仕方の相談なども含めて、専門家とつながっておくことで、成長に合わせたサポートが受けられるでしょう。
【なないろキッズ】 #77 吃音の会話ゆっくり待つ
- 2022/10/25
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ