朝日村 元地域おこし協力隊の2人が起業

地域に根差し新たな一歩

朝日村の地域おこし協力隊の任期を終えた2人が今年、相次いで村内で起業した。
6月に卒業した浅川晴輝さん(27)は、自家焙煎(ばいせん)コーヒーと古着・古道具の店「CAFE Fuuuketsu(カフェフーケツ)」を、同村古見で7月初めに開店。7月末卒業の信時(のぶとき)郁美さん(33)は、パン製造販売の「ときのぱん」を、住んでいる借家の敷地内(西洗馬)で8月末に開店した。
同時期に地域おこし協力隊として活動した仲間たちと、4人で立ち上げた任意団体「おこしーず」では、任期中からマルシェなどのイベント企画・運営や、村特産品の商品開発など、担当分野を超えて活動した。人脈やさまざまな経験を生かしての起業。地域に根差した活動を続け「仲間に恵まれた」という2人に話を聞いた。

レトロな品物もつながり生む場
カフェフーケツ

山梨県出身の浅川晴輝さんは、福祉に関わる仕事をした後「いろいろな挑戦をしたい」と協力隊員になり、観光協会でイベントの計画や運営などに携わった。
もともと人と関わることが好きで「好きなことを仕事にしたい」と考えていた。周りに飲食店関係者が多かったことなどから、カフェの開店を決意。昨年末、「おこしーず」の活動で元飲食店の空き家を改装して造った、総菜と菓子製造業の許可付きの「シェアキッチンかざあな」に併設することにした。
古い物も好きで、「スペースを有効活用しよう」と本や古着、レコードなども飾り、販売もする。昔の銭湯で見かけたマッサージチェアやテレビゲーム台も、椅子やテーブルとして活用。「ごちゃごちゃしているけれど、ある意味まとまっているのかも」と笑う。
「ここでしゃべるのが楽しい」と訪れる人や、持参したレコードをかけてコーヒーを味わう人、古着を目当てに訪れる人など、さまざまな人が訪れる場になっている。シェアキッチンの利用者が作った菓子を販売したり、来店者とコラボイベントを開いたりと、出会いの場にもなっている。協力隊での活動は「1人ではできなくても、力を合わせればできることがあると、身をもって感じた。このカフェが、そんなつながりを生む場になれば」と話している。

プレハブ店舗で8月に販売開始
ときのぱん

一方、「朝日村は母の田舎に似ていて、自然が豊かで居心地がいい。東京や松本にも近くて便利」と、協力隊赴任当初から定住を決めていた東京都出身の信時郁美さん。「将来は店をやりたい」と漠然と考えるうち、「毎日食べて日常的に関われるものを」と、村になかった「パン店」起業を考えた。
「協力隊のメンバーは、みんな何かを目標にしてきた人たち。一緒に活動できて、勉強になることがたくさんあった」という信時さん。任期中は村の婚活支援事業を担当し、相談窓口を開くなどして活動する一方、2年目から早くも卒業後に向けて始動した。いろいろなパン店を食べ歩き、松本市内の玄米粉パン専門店で「研修をしたい」と村に相談。承諾を受け、代休も利用して週に数回通い、腕を磨いてきた。
大家の許可をもらい、昨年末から借家の敷地内に製造設備を備えたプレハブ店舗を建設。試作を重ねながら、3月頃からはイベントへ出店。8月からは自身の店舗での販売を始めた。「村の人たちが優しく、何かと気にかけてくれる」と感謝し、「地域の人が利用しやすいパンを作って食べてもらい、5年後にはちゃんとした店を出せるようになりたい」と、さらに前を見ている。

【メモ】
カフェフーケツは木~日曜午前10時~午後5時。ときのぱんは水・金・土曜の午前10時半開店で、売り切れ次第終了する他、木曜は朝日村役場で正午から販売。両者とも、各地で開くマルシェへの出店などもしている。詳細はインスタグラム(フーケツ ときのぱん)から。