フランス料理店でイベント アート体験と特製ディナー

MIYABIカフェ&ダイニング 塩澤晃太さん 松本市

「どの色を選ぶか迷うなあ」「一番出したい色を底に入れるといいですよ」─。
会話しながら、にぎやかにアート作品作りに取り組む人たち。ここは美術館やアトリエではない。フランス料理店の店舗内だ。
松本市に今年1月オープンした「MIYABIカフェ&ダイニング」(城東2)。店内の壁を飾るのが、オーナーシェフの塩澤晃太さん(29、里山辺)が描いた「フルイドアート(流し絵)」だ。9月から月1回、このフルイドアートの体験と特製ディナーをセットにしたイベントを始め、好評だ。
「フランス料理ってこんなに近い」をコンセプトにする同店。敷居が高いと思われがちな料理に親しんでもらうため、アイデアを凝らす。

フルイドアート料理と楽しんで 

松本市の「MIYABIカフェ&ダイニング」。店のドアを開けると、南仏プロヴァンスをイメージしたという青緑、ボルドーの赤など、鮮やかで色とりどりの作品が目に飛び込んでくる。店主の塩澤晃太さんが創作したフルイドアートだ。
そのフルイドアート作りを体験し、特製のディナーを味わうイベント「lien(リアン、フランス語でつながり、絆の意味)」が月1回開かれている。
先月25日の開催には、女性5人が参加した。塩澤さんの指導で、アクリル絵の具3色をコップに入れ、キャンバスの上でひっくり返すと、絵の具が混ざり合って自然に流れ、予想外のさまざまな模様が生み出された。色選びや流し方で作品がまったく違う個性となり、二度と同じものはできないというアートに、参加者は驚いたり感嘆したり。
お待ちかねのディナーは、「トマトの魚介詰め」「真鯛(まだい)のパイ包み焼きブールブランソース」など、彩りも豊かな4品のコース。制作と食事を通して参加者同士の話も弾み、交流も進んだ。
会社員の女性(27)は「アート体験もとても面白かったし、ただ食事するだけよりも、店の魅力が高まる」と満足そう。塩澤さんは「料理も普段できないものに挑戦できる。正直あまり利益はないが、店のファンになってもらえたらうれしい。アートに興味を持つ人が増えるといい」と笑顔を見せた。

大好きな松本でフランス料理店

塩澤さんは飯田市出身。高校で松本市に来て、松本大に進学。アルバイトで飲食業の面白さに目覚め、将来は自分で店をやりたいと大学を中退、市内の和食店や結婚式場で一から修業してきた。
もともと洋食が好きで、特にフランス料理の幅広さや懐の深さ、五感全てで味わえるところなどに強い魅力を感じた塩澤さん。この素晴らしさを知らないのはもったいない、若い人にもぜひ知ってほしいと、気軽に食べられるフレンチをコンセプトに、大好きな松本で店を開業した。
昼はカフェ、夜はアラカルト主体のカジュアルな業態。店名は、飯田市の実家が営むブライダルサロンから取り、ロゴも同じデザインを取り入れた。当初からアート作品を掲示する設計で照明を配置、個々の作品のイメージに合わせたドライフラワーも花を添える。
開業から10カ月。壁の作品をきっかけに客との会話も弾み、制作を依頼されることも。妻で、サービスを担当するあすかさん(32)の温かい接客も好評だ。「常連の皆さんにも飽きさせず楽しんでもらえるよう、地に足を着けてやっていきたい。ゆくゆくは多店舗展開し、この地域に貢献できたら」と塩澤さんの夢は膨らむ。
次回イベントは20日、参加費5500円。詳細はインスタグラムcafe_dining_miyabi。TEL0263・75・0404