農業ロボット開発への挑戦

「新生園」横山さん・「知恵と考働」真野さん、安田さん 松本市

工学のノウハウを生かし、農業者を楽にしたい─。ブドウやリンゴを生産販売する「新生園」代表の横山竜大さん(58、松本市今井)と、NPO法人「知恵と考働(こうどう)」(松本市)の真野正敏さん(75)、安田誠一さん(69)ら工業系の技術者たちが畑に集結。「畑違い」がタッグを組み、農業分野へのロボット導入に向けて動き始めた。
「知恵と考働」は2016年、地域活性化を目的に企業退職者らが設立した。コンサルティングや経営改善支援などをする。真野さんは活動の中で「経営改善は、経営者自身に夢や問題意識がないと難しい」と感じることが多かった。
今年2月、ブドウ栽培の技術を伝える横山さんの動画サイトを見た。「目の輝きが違う。ただ者ではない」。早速安田さんと共に横山さんを訪ね、「ブドウ栽培を教えてほしい」と持ちかけた。農業で役立つロボットを開発したいことなどを説明した。
「初めは話が大き過ぎて『詐欺に遭っているのでは』と疑った」と横山さん。「知恵と考働」の趣旨や実態、真野さんらの専門分野などを知り、「農作業をもっと便利にしたいが、自分には技術がなく、どうすればいいか分からなかった」と共感した。
今年春から真野さん、安田さんが畑に出て、さまざまな作業をし、データを取っている。横山さんは「こんなことができたら」とアイデアを次々と投げかける。2人が受け止め、試作品に反映させる─。
すでにブドウを種なしにする薬品を、効率的に吹き付ける作業ツールの改善が進んでいる。自動で人間についてくるカートを作る構想もある。
横山さんは「農家が欲しいのは『大衆車』。技術のプロは『F1カー』を目指したがる」と本筋を見失わない。さらなる改善や開発に向けて前を見据える活動には、行政や企業、大学なども興味を示し、畑を訪れているという。挑戦は始まったばかりだ。