松本の古田さん そば打ち大会で女流名人に輝く

楽しみながら伝統つなぐ

無駄のない動作でそば粉をこね、延ばし、一定の幅に切りそろえる─。塩尻市で10月15、16日に開かれた「信州オープン女流そば打ち名人大会」で、古田陽子さん(45、松本市今井)が最高位の名人に輝いた。
男性のイメージが強いそば打ちだが、「もっと女性が活躍する場を広げたい」と、NPO法人信州そばアカデミー(塩尻市広丘野村、赤羽章司理事長)が開催。多くの女性が通う「蕎麦道場大瀬庵」(松本市今井、大瀬渡代表)で、同世代の仲間たちと一緒に腕を磨く古田さん。「自分でもびっくり」という受賞は仲間たちへの刺激にもなっている。

自分を表現し高い評価得る

「信州オープン女流そば打ち名人大会」は、全国予選を勝ち抜いた愛好家が集う「全日本素人そば打ち名人大会」の受賞経験者も参加する、ハイレベルな大会だ。昨年信濃町で初開催し、18人が参加。2019年の「全日本─」で名人を獲得した石川県の女性が初代名人に輝き、古田陽子さんは5位入賞に当たる新人賞を獲得した。
「もう少し上に行ければ」と昨年に続き挑戦した。信州そばアカデミーの赤羽章司理事長(73)によると、「優しさの中にもリズム感があり、落ち着いた感じで、自分らしさの表現ができていた」というそば打ちや、手作りしたという紺色の作務(さむ)衣(え)をまとった雰囲気、1分間スピーチの内容や話し方などが高評価を得て、名人に輝いた。
古田さんは10年ほど前、義母の勧めで「蕎麦道場大瀬庵」に通い始めた。「昔からの伝統食で親から子へと伝えられた『そば打ち』が、すたれてきている昨今、気楽に打てるそばを広めたい」。そんな思いを込めた大瀬渡さん(74)の指導に、「当初は何も分からず、言われるままに打っていた」と古田さん。年齢が一回り以上離れた年上の人が多く、男の人のイメージが強かったため「場違いでは」と感じていたという。それでもこつこつ練習を重ねてきた。

「名人」認定で仲間にも刺激

2年ほどして、大瀬さんの勧めで全麺協(東京)の段位取得に挑戦し、初段を取得。ママ友に話すと、興味を持った同年代の仲間が集まった。大瀬さんを講師に地域の公民館で「若妻そば打ち講座」が開講。講座終了後も、大瀬庵には引き続き30人ほどの女性たちが通い、おしゃべりも楽しみながら腕を磨いている。
「同年代のそば仲間が増えてうれしい」と話す古田さんは、数年前から講座の講師や「道の駅今井恵みの里」でのそば打ちも担うようになった。
「女性はそば打ちを幾つもある趣味の一つとして、仲間づくりや情報交換、ストレス発散、さらには食事として身近に捉える人が多い」と大瀬さん。古田さんは、仲間との練習や大会出場がモチベーションアップや刺激になるといい、「これからもみんなで楽しくそば打ちを続け、講師などで先生のお手伝いができれば」。
大瀬さんは「心強い」と次世代への継承にも手応えを感じている。
技術向上に向けた度胸試しや、仲間づくりの場としても、多くの人に参加してもらいたいと話す赤羽理事長。大瀬庵では、古田さんの受賞に刺激を受け「自分も来年度の大会に出たい」と後に続こうとする人が出てきている。女性が楽しみながら行うそば打ちは、根付き始めているようだ。