みこしで松本の街にぎやかに 「信州松本 松深会」活動20年

楽しい汗かき城下町盛り上げ

軽快なお囃子(はやし)が響き、老若男女が担ぐみこしが街を練り歩く。コロナでかけ声は自粛するが、熱気は十分。練り歩く先を華やかに盛り上げる。
松本市街地などの祭りや催しでみこしを担ぐ「信州松本松深会(しょうじんかい)」。担ぎ手が何十年も途絶えていた深志神社(同市)のみこしを担いだのがきっかけで発足し、ことしで20年目になる。
「深い志しを以(もっ)て松本を担ぐ」をモットーに、祭り好きの男女が集う。担ぐのは「萬燈(まんとう)みこし」。弓張り提灯(ちょうちん)を四面に掲げ、家内安全や健康を祈願する由来もある。松本にはこれまでなかった形で、会員が手作りした。
3日は、市街地で3年ぶりに開いた「まつもと市民祭松本まつり」に参加し、松本駅前から国宝松本城へ。街のにぎやかしに一役買う姿を取材した。

伝統を守る意思祭り好きに共鳴

3日、松本市街地にある四柱神社の神霊(みたま)を乗せた「信州松本松深会」のみこしが、松本駅前から松本城までを練り歩いた。会員のほか、県内外に約20ある友好団体のメンバー約100人が集まり、30人ほどずつが交代で担いだ。
細い路地を練り歩くため、小さなみこしを使用。担ぐ時、下ろす時はその都度、組頭の拍子木に合わせて一本締めをし、幾つかの店の前で、みこしを手で上へ高く「差す」(神様を差し上げる意味)動作をした。先頭で担ぎ手を統制する係もいる。
太鼓や笛のお囃子部隊は8人が参加。岩岡信行さん(62、同市村井町南)は「楽しく担げるよう盛り上げ役として頑張りたい」。笛を吹く女性も笑顔だ。
同会は2002年、深志神社の「菅原道真公御正忌(ごしょうき)千百年大祭」で、みこしの担ぎ手として奉仕したのを機に、03年に発足。深志神社のお膝元「天神」で生まれ育った高田裕任さん(75、安曇野市明科)が、あめ市で例年みこしを担ぐ人らに声をかけ、仲間を集めて自身が会長に就いた。
それまで深志神社のみこしの担ぎ手は40年余り途絶え、みこしをトラックの荷台に載せるなどして市内を回っていた。「城下町の伝統を守りたい」思いと、「みこしを担ぎたい」という祭り好きの血が響き合い、会員は約130人になった。

会員減る傾向に若い担ぎ手募る

担ぎ手は初心者ばかり。上田市などの、歴史あるみこし団体の練り歩きに参加し、作法や役割を身に付けた。「ただ楽しむだけでなく、神様を担ぎ上げる自覚を養った」と高田さん。
現在は同市や県内外の祭りのほか、2年に1度の「信州まつもと大歌舞伎」で、歌舞伎役者の「お練り」の先頭を務める。自営業の太田一史さん(42、松本市宮渕)は「地元の祭りを盛り上げられる。他の団体への参加で、県外にも行って担げて、めっちゃ楽しい」。
一家で参加する人も。清水和樹さん(40、同市梓川)と妻の可奈さん(46)、娘の葵唯奈(あゆな)さん(8)は、祭りや体を動かすことが好きな可奈さんが、結婚を機に和樹さんと入会し、葵唯奈さんも加わった。「将来は3人で、肩を並べて担げたらうれしい」と可奈さん。
ただ現在、会員は70人と減少気味だ。山車が多い松本では、町会の祭りなどでみこしを担ぎ、若い世代に引き継ぐ機会が少ないのも要因とみる。そこで、次世代育成のために子ども用みこしを用意し、貸し出しや担ぐ手助けにも応じている。
コロナ下で、人との接触が激減した社会。組頭の神木光さん(55、同市城東)は活動について「楽しい汗をかけることと、一体感がやりがい」と話し、「今後に向け、若い力も貸してほしい」と呼びかける。
次回は20日、四柱神社のえびす講で、午前11時ごろから大名町付近を練り歩き、今年の活動を締めくくる。新たな担ぎ手も募集中。問い合わせは事務局TEL0263・39・0354