100%地元素材究極の地ビール―安曇野ブルワリー

地産地消で安曇野の活力に

ホップや大麦、水など100%地元素材で、究極の地産地消ビールを造りたい―。そんな思いを核に、「安曇野ブルワリー」(安曇野市穂高)は今年2月にオープン、7月から醸造を始めた。JR穂高駅前で、醸造所にパブを併設する。
代表の齋藤岳雄さん(50)は、ホップ栽培7年目。副代表の降籏治喜さん(45)、細田直稔(なおとし)さん(43)も農家だ。米価が下がる、後継者がいないといった逆風を、安曇野産ビールで吹き飛ばし、地域も元気にしようと張り切る。醸造を担当する三浦季久(としひさ)さん(59)、原田一彦さん(60)が思いを支える。
循環型農業も目指す。ブルワリーは6次産業化、SDGs(持続可能な開発目標)の追求―など、さまざまな可能性を秘めている。

県産にこだわり特色ある酒造り

安曇野市のJR穂高駅前ロータリー近くにある、パブを併設した醸造所「安曇野ブルワリー」。おしゃれな店内には、カウンターやテーブル席があり、奥に発酵用タンクなどが入る醸造所が見える。
メニューには、写真入りでビールの説明がある。ホップ、大麦と全て自家農園産でのどごしが良く、すいすい飲める「安曇野エールSui」、日本酒のきれとこくをビールで表現したいと県オリジナル米「風さやか」を使った「爽風(そうふう)セゾン」、安曇野産りんごジュースをたっぷり使った「フルーツエール」が定番の3本柱という。
そこに季節の限定品が加わる。秋は「紫蘇(しそ)の香IPA」と「かぼちゃのポーター」。「紫蘇―」は無農薬栽培した安曇野産の赤シソ、ローストした麦芽を使用、赤みがかった琥珀(こはく)色で、しっかりとした苦みとこくが特徴だ。シソがふわっと香り、爽やかに仕上がっている。「かぼちゃ―」は安曇野産のカボチャを丸ごと使い、こくととろみ、カボチャの香りや甘さをほんのりと出している。
これらのビールの設計図を描き、醸造するのは、三浦季久さん。原田一彦さんもそれを手伝う。今後は、サツマイモのビールにも挑戦するという。

地元農業抱える課題解決にも力

安曇野といえば、きれいな水、田園風景、自然―などをイメージする人は多い。「安曇野ブルワリー」の母体はその風景を支える農業。代表の齋藤岳雄さんらも従事者だが、後継者不足、遊休荒廃地など、農業の抱える課題は多い。
安曇野ブルワリーの立地はJR穂高駅近くなので、地元客の他、観光客、登山客の来店も見込める。地元産の素材を使った独創的なビールを通じて、安曇野や農産物などをPRできる。ホップ栽培やブルワリーを知ってもらおうと、7月にホップ収穫体験会も開いた。農業や地元を元気にするための追い風にして、農業の課題解決にもつなげたいと期待する。
ビールの醸造で出る麦芽かすは、ホップの肥料として使うなど、循環型農業のシステムも構築したい考えだ。来年は栽培面積を増やし、新規就農者の支援にも役立てたいという。安曇野や周辺のクラフトビール醸造所だけでなく、酒蔵、ワイナリーとも連携し、ビールやアルコールが会場で楽しめる祭り、オクトーバーフェストのようなイベントの開催も視野に入れる。齋藤さんは「安曇野の特産品の一つに育てたい」と意気込む。
330ミリリットル550円(「安曇野エールSui」のフレッシュホップ版は600円)。パブではレギュラー770円(同820円)、ラージ1300円(同1400円)。パブは火曜午後5~10時、水~金曜午前11時半~午後2時、午後3~5時(カフェタイム)、午後5~10時(ディナータイム)。土日祝日午前11時半~午後10時。月曜定休。TEL0263・88・2947