キャンドル販売店 理想の空間手作り

明かり囲んで安らぐ時間を

丘の上から北アルプスや田園風景を望む築45年の中古住宅を、自分たちの手で理想の店に─。キャンドル工房と販売の「kotobukirokets( コト ブ キ ロケッツ)」が11月25日、松本市寿豊丘にオープンした。
オーナーは小学生3児の母、園原かおりさん(39)。昨年1月に開業、SNSやマルシェなどで販売してきた。「いずれは店を持ちたい」と熱望。家族の了承を得て、今年9月から6LDKの自宅の2室を家族や友人らで改造、店舗にした。
コンセプトは「日常に溶け込むキャンドル」。蜜ろうや大豆由来の天然素材などを使い、アップサイクル(創造的再利用)にもこだわり、環境や循環も意識する。
とっておきの空間と、そこに並ぶキャンドルに込めた思いとは。

家族や友人と手作業で完成

松本市寿豊丘のキャンドル店「コトブキロケッツ」。太い梁(はり)を生かした高い天井に、所々に黒い草が混じったしっくい塗りの壁。つやのある古材の床にはつぶしたくぎが打たれ、鉄枠に古い板を渡しただけのシンプルな飾り棚が並ぶ。多くを家族と友人らの手作業で完成させた。
オーナーの園原かおりさんは、もともと古道具やアンティーク好き。リノベーションの設計とデザインをリビルディングセンタージャパン(諏訪市)に依頼した。自分たちで天井を壊し、壁を塗り、一本ずつ長さも反りも違う古材を床板として並べ、切って、くぎを打った。
壁を抜いて入り口を作るなど、専門性が高い部分は大工に頼んだが、それ以外は全部手作業で、「大工さんにも驚かれた」。床板に打つくぎも、古材の見た目を損なわないよう、2000本を金づちでつぶすこだわり。商品棚の鉄部分は、車の板金の仕事をする夫の俊司さん(40)が溶接、小学生の子どもたちもくぎ打ちなどを手伝った。
「夫とはけんかもたくさんした」と笑うが、家族が同じ方向を向いてやっと作り上げた理想の空間。「本当に皆さんのおかげでありがたい。気軽に立ち寄ってゆっくりしてもらい、ゆくゆくは子育て世代向けイベントも」と夢は膨らむ。

頑張り過ぎず豊かな生活を

松本市出身の園原さん。東京の短大の家政科で被服やデザイン、カラーなどを学んだ。松本に戻ってアパレルの販売員をしながら、当時人気の出始めたアロマを勉強し、コーディネーターの資格を取得。趣味でアロマキャンドルを楽しんでいた。
24歳で結婚、3人の子どもに恵まれ、家事育児とパートの仕事に多忙な毎日が続いた。2年前、環境の変化やワンオペ育児が重なり、突然の帯状ほう疹に見舞われた。痛みで1カ月ほど寝込み、「頑張るのはやめよう。休もう」と思い至った。
そんな時、導かれるように出合ったのがキャンドル。市内のキャンドル店「teaotepo(テアオテポ)」で道具の使い方や作り方など基礎を学び、自宅でも作っては練習の日々。徐々に自分のスタイルを確立し、昨年1月「コトブキロケッツ」として発信、販売を始めた。
自身の体調不良やコロナ禍などを経験して行き着いた方向性は、「丁寧で豊かな暮らし」。その一つとして、ナチュラルなキャンドルの明かりを囲んで食事したり、リラックスしたりする時間を取り入れてほしいとの願いを込める。
信州産の蜜ろうや大豆由来のもの、廃棄される地元産の花を美しく生かした作品が人気で、インスタグラムで発信する夜景とキャンドルの明かりのコラボには、県外から数々の反響も。今後は、思いを詰め込んだ新拠点から、キャンドルを通した豊かなライフスタイルを提案していく。
水~金曜と隔週土日営業、午前10時~午後3時。TEL090・5401・8801。詳しくはインスタグラム