使える?農業でパワーアシストスーツ

負担軽減・効率化に生かせるか  体験検討会 朝日村

農業の担い手不足や高齢化、繁忙期の人手不足が深刻化する中、スマート農業などの導入で人手不足解消や効率化ができないか|。レタスやキャベツ、白菜など、県内有数の高原野菜生産地の朝日村で、装着型作業支援ロボット「アシストスーツ」の体験検討会が開かれた。
アシストスーツとは、重量物の運搬や日常的な動作で体に加わる負担を軽減させるための装置。電動モーターや空気圧を用いたタイプなどがあり、農業の他にも介護や製造業など、さまざまな分野で使われ始めているという。
村役場で開いた体験会には、村内の生産者や農協職員ら11人が参加して、スーツを試着。重い物を軽々と持ち上げられるようになるのか?動きやすさは?着心地は?試着会場を訪ねた。

県保有など2種人工筋肉の技術

パワーアシストスーツ体験検討会に登場したスーツは、県が保有する株式会社サステクノ(青森県八戸市)の「エアロバック」と、小林製袋産業株式会社(飯田市)が代理人契約を結ぶ株式会社イノフィス(東京都新宿区)の「マッスルスーツエブリィ」の2種類。いずれも中腰姿勢の維持を補助して腰への負担を軽減するもので、空気圧を用いた人工筋肉の技術を利用している。
参加者はリュックサックを背負うように試着して、ベルトを締めた後、20キロの肥料袋を持ち上げたり歩いたりして、体への負荷のかかり方を体感した。
担当者から「力持ちになって軽くなるわけではない。腰への負担を軽減させるもの」と説明を受けると、参加者からはがっかりする声が上がった。荷物を持ち上げてみて「効果が分からない」という人もいたが、中腰の姿勢を保ったままで駆動源の空気を抜くと、途端に姿勢が前のめりになり「確かに違う。重く感じる」と納得。
「実際の作業をして長時間使ってみないと、効果は分からない」「着脱に時間がかかる」など、農家からはいろいろな声が上がった。清沢美智穂さん(66、針尾)は「違いがよく分かった。家族の仕事分担で自分には必要ないが、夫の仕事にはあれば良いかも」と話した。

使用評価を基に補助金制度検討

アシストスーツはさまざまな企業が開発や販売を行っている。価格は動力源や機能によって数万円から100万円以上までと幅広い。個人での購入には二の足を踏む人が多いが、スマート農業の推進に向けて補助を出す自治体も増えているという。
マッスルスーツエブリィ(14万9600円)を装着し、茨城県で行ったイチゴ農園での実証実験では、定植や収穫などの作業時間を最大18%、年間を通じて5・2%(129・9時間)削減できた。「人を雇ったくらいの金額で、効率よくけがなく働けると考えてもらえれば」と小林製袋産業の下島裕一さん。村農業委員会の下田直美会長(70)は「長年働いて体を壊している人も多い。高齢者が長く働ける助けにもなり、若い人にも体を壊さずに長く続けていけるよう、活用してもらえれば」と話していた。
体験検討会は、朝日村が今年6月に策定した「村農業ビジョン」の課題の一つで、スマート農業などの実用性や費用対効果を研究しながら、普及を進める取り組みの一環。中腰の姿勢が続く作業や、重量物の運搬が多い村の農業でスーツを活用し、腰痛予防や作業の効率化などに生かせればと、使用の評価を基に補助金制度の検討に生かす考えだ。