【働くママ・パパ】プロボウラー 関口実穂さん 娘たちの成長が原動力

松本市島内出身の関口実穂さん(29、上田市)は、3人の女の子(年中、小学1年、3年)を育てるプロボウラーです。今年5月に2度目の挑戦でプロテストに合格し、多忙ながらも充実した日々を送っています。
★きっかけは両親
ボウリングが趣味の両親の影響で、幼少期からプレーしていた関口さん。小学3年生の時に出た大会で、初めてプロボウラーを見て「将来は自分も」と夢を抱きます。
市内のボウリング場のジュニア教室で腕を磨き、高校3年時の国体で7位入賞。推薦で入学した大学では、1年生ながら全国新人大会(個人)で優勝し、団体戦メンバーの1人として出場した全日本大学選手権も制します。
そんな矢先、妊娠が判明します。試合も控えていて残念な気持ちもありましたが、「授かった命を大切にしよう」と退学して結婚。育児に専念することにし、19歳で長女実優(みう)さん(9)、その2年後に次女実央(みお)さん(7)を出産します。
★プロを目指す
ある時、実家の両親とボウリングを楽しみ、プロになる夢を思い出します。「でも、幼い子どもがいては無理」。諦めかけた時、アマチュア時代に知り合った夫の匡史(まさし)(47)さんが「一緒に夢をかなえよう」と背中を押します。
匡司さんの実家がある上田市へ移住。家族の協力を得て、ボウリングを再開します。2017年には三女実馨(みか)ちゃん(5)を出産、その1カ月後には練習を再開。21年のプロテストを目指します。
第1、2次の実技試験は各4日間。女子は1日12ゲーム、計48ゲームで190アベレージ以上が合格です。大半の選手が1年かけて準備するところを、3カ月で挑戦。わずかに届きませんでした。
その悔しさをばねに課題克服に努め、2度目の挑戦で合格を手に入れました。
★現在の生活
プロになって最初の上半期順位決定戦(6月)は持ち味を発揮できず、毎月開くトーナメントへの出場権を逃しました。直後に行われた新人戦は4位入賞。現在は県内外のチャレンジマッチに挑み、実績を積んでいます。
平日は主に上田市と長野市のボウリング場で教えたり、一般客にアドバイスしたり。土日曜はいつでも大会に出られるよう予定を開けています。
女子プロでも子育て中のママは少なく、練習時間だけでも大きな差があります。「同期をうらやましく思う時もありましたが、『3人の子どもの世話と家事と仕事をこなしながらよくやれてる』と自分の努力を認め、褒めることで心を軽くしてきました」
埋められない分は、質で勝負─。週3日、各1時間半の練習に全力投球します。
★家族との時間
「仕事から帰宅して玄関を開けると、子どもたちが一斉に駆け寄り、一度に話し始めるので大変」と笑う関口さん。
子どもたちの迎えや夕食作りなどをしてくれる義母、県外の仕事には運転手兼マネジャーとして付き添い、こまごました仕事を担ってくれる夫、そして県外に行くときは子どもを預かってくれる実家の両親。「自分がボウリングをできるのは、支えてくれる家族のおかげ。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。原動力は娘たちの成長。80歳を過ぎても現役であり続けたいです」