デビュー20周年へ葦木啓夏さん

癒やしと生きる喜び伝えて

透き通った美しい声、元気づけられる歌詞、心に響くメロディー。県内を中心に活動するシンガー・ソングライターの葦木啓夏(あしきひろか)さん(安曇野市)は2023年2月、デビュー20周年を迎える。
高校生の時、松本駅前の路上ライブから始まった。つらいこと、苦しいこともあったが、歌で自分を表現し、思いを吐き出してきた。歌で人と自分を癒やしてきた。音楽で人とつながった。
「美咲」の芸名を16年に改めた。21年には茅野市から安曇野市へ拠点を移し、音楽制作スタジオ「天(あま)つ風」を設立。今年5月には人生を共に歩むパートナーを得た。来年2月4日には、生まれてきて良かったという思いを分かち合う「天空祭」を松本市で開く。20周年のアニバーサリーだ。

歌で自分を表現 路上ライブ転機

私が私として生まれて
私が私として奏でる
このメロディ届けたい
いつでも側(そば)にいるから
さあ私の道…歩こう。

葦木啓夏さん作詞作曲の「私の道」の一節だ。
「子どもの頃は、引っ込み思案で歌が友達だった」と葦木さん。松本市で育ち、小学校6年生で合唱部に入部、中学1年でSKF合唱団に所属した。中学には合唱部がなかったが、「歌いたい」という思いは抑えられない。音楽教諭に直談判し、8人で重唱(アカペラ)の同好会を発足させた。市音楽文化ホールで開いた重唱コンクールで優勝、自分たちの歌声が金色の光に包まれる感覚を味わった。「歌う人になろう」
田川高に進学、音大を目指したが家庭の事情で断念。絶望の中、知人に誘われ出かけた路上ライブが大きな転機となった。「歌わせてほしい」。「アメージング・グレース」を歌った。
歌の力は大きかった。「自分の歌を歌いたい」と、歌ってから3日で、初めての曲「星仄(ほの)か」を作った。高校3年の時、この曲でヤマハ音楽振興会などが開く「ティーンズ・ミュージック・フェスティバル」の関東大会で奨励賞を受賞。「美咲」の名前でアーティスト活動を始めた。

つながり生む歌 来年コンサート

19歳で茅野市に拠点を移した。09年、長和町の「黒曜石のふるさと親善大使」になったり、10年には諏訪大社御柱祭の歌「御柱」を制作して祭りを盛り上げたりと、活動は広がった。「歌が一人だけのものではなく、誰かの力になったり、歴史や文化、人と人をつなげたりすることができることを実感した」
半面、つらいことも多かった。保育園、小学校ではいじめを体験した。高校2年生の時は性被害に遭い、現在でもトラウマ(心的外傷)を抱える。自分の味方だったはずの歌に苦しめられた時期もあったが、旅に出ることで、ありのままの自分を受け入れることができた。
音楽性、方向性の違いから、長年活動を共にしたマネジャーから独立、21年、音楽制作スタジオ「天つ風」を設立した。音楽で思いを形にしたいというプロジェクトもスタート。無添加コロッケ製造の合同食品(大阪府)のテーマソング「コロッケ↑↑アゲアゲSONG」の制作もその一つだ。
23年2月4日には、コンサート「天空祭」を開き、過去を振り返り、未来への一歩を踏み出す。「これまで生み出してきた作品を歌いながら、生きていることを思い切り楽しみ合い、分かち合いたい」と葦木さん。来年末までには、20周年記念のアルバムを制作、売り上げの一部を「同じような体験をした人がより自由に表現できる世界をつくりたい」と、トラウマに苦しむ人の支援に充てる。

【メモ】
20周年記念ライブ「天空祭」23年2月4日、LIVE HOUSE箱船(松本市大手1、ニュー大手ビル1階)。午後6時半開演。前売り3500円(当日4000円)。1ドリンクを注文する。Hyogiさん、Aimiさん(松本市)、MC Mystieさん(大町市)、Kento Takayamaさん(長野市)がゲスト出演する。詳細、チケット購入、問い合わせは「天つ風」ホームページから。TEL090・8440・0486