レスラーと経営者の二刀流LINDAさん

地域活性化に向け会社設立へ

「SMといえば性風俗で、私のキャラクターの根幹だった。これからは、サービスの『S』、満足の『M』の意味を込めた言葉としても使いたい」
こう話すのは芸能プロダクション、信州ガールズ(長野市)に所属する女子プロレスラー・LINDA(リンダ=本名・今井美智子)さん=安曇野市豊科南穂高=だ。
40歳の不惑を迎えた今年、覆面レスラーとしての自身の代名詞「女王様キャラ」で、メジャー団体のリングに初めて上がった。加えて、プロレスが縁で交流が始まった栄村を盛り上げようと、「地域活性化」を目的とした会社設立を目指すなど、起業家としても動き出した。
「レスラーはあと3年で引退」と覚悟を決めている。それまで「二つの顔」を使い分け、二刀流で全力投球する。

女王様キャラで初のメジャー戦

8月26日、都内の複合ビル内のホール。LINDAさんは、国内最大の女子プロレス団体・スターダムが今春から開催している「NEWBLOOD(ニュー・ブラッド)」というシリーズ戦に登場した。
会場は約400人の観客で満員。メジャー団体のリングに初めて上がったLINDAさんは、「女王様キャラ」に扮(ふん)し、シンボルでもある「むち」を振り回して大暴れした。
試合は、タッグを組んだ桜井まい選手がフォールを奪い勝利。LINDAさんは「自分の特徴は発揮できた。むちは本当は反則だが、キャラの一部としてレフェリーが黙認してくれたのが、うれしかった」と振り返った。

2010年、県内の団体・信州プロレスに入団。プロレスラーになった当初から貫いてきたSMの「女王様キャラ」のルーツは、高校卒業後に働いていた大阪にある。
SMバーで初めてショーを観賞。舞台で演じている女性たちの美しさに加え、普段は普通のサラリーマンたちが、ステージに引き込まれていく姿を見て「こんな世界があるんだ」と感銘を受けた。プロレスラーになると決意した時点で、キャラクターは「女王様」に決まっていたという。
LINDAさんは「SMは性風俗だが、この特異でなまめかしい世界を一般の人にも、少しは理解してほしかった」と思いを明かす。

各地にできた縁栄村の魅力発信

女子プロレスラーとして県内を中心に全国を回る中で、各地に縁ができた。その一つが約6年前から交流を続けている栄村だ。震災からの復興と、過疎化という大きな課題を抱える同村を何とか盛り上げてほしいと依頼され、LINDAさんが目を付けたのが加工用トマトと、それを使ったジュースだ。
「村にはスキー場しかないと言う人がいるが、こんな素晴らしい食材がある」。村の「トマトジュース大使」に任命され、村と百貨店の井上(松本市)が共同開発したレトルト食品「トマジューカレー」の監修もした。
こうした経験から、各地に埋もれている物産などの魅力を広く発信し、地域創生につなげようと、会社設立を決意。今春から起業のためのセミナーに参加したり、8月からは松本商工会議所が開いた創業スクールに通ったりして学んだ。
来年早々に発足予定の会社名は「WHIP(ホイップ)」。「むちで打つ」という意味の一方、「元気付ける」などの前向きの意味もあり、「私にぴったりのネーミング」と笑顔を見せる。
プロレスラーとしての現役はあと3年。それまでの間は、レスラーと経営者の二刀流だ。LINDAさんは「サービスと満足を与える『SM』を基本に、選手としては燃え尽き、経営者としては大きくなっていきたい」と意気込む。
LINDAさんは17日に長野市芸術館で開く信州ガールズの一大イベント「信州ガールズコレクション」に出場する。詳細はウェブサイトから。