母親が共同で作る「あいのりおせち」

1人では作るのが大変な「おせち」。母親たちが共同で作ることで、楽しく労力と気持ちを分かち合い、伝統文化の継承にもつなげていけたら─。
そんなコンセプトの「あいのりおせち・伝統おせち料理をみんなで仕込む会」が29日、松本市の「スタジオママル」(平田東2)で開かれる。
教えるのは、料理教室「hirokogohan」を主宰する古幡寛子さん(39、塩尻市洗馬)。子どものアトピーをきっかけに、心と体を整える食の大切さを痛感した。「仕込む会」では甘酒など発酵調味料を使って砂糖は控えめ、体に優しく子どもにも喜ばれるおせちを作る。
衛生管理を徹底し、コロナ禍でも毎年続けてきた「あいのりおせち」。込めた思いとは。

食の大切さ痛感料理指導の道へ

ユニークな「あいのりおせち」を提唱し伝える、古幡寛子さん。中1、小6、小1の3人の子育て中のママさんだ。
古幡さんが、和食主体の体に優しい料理指導の道に入った原点も、子どもだった。
24歳で結婚。長女が小麦と卵アレルギーに加え、アトピー性皮膚炎に。年子で生まれた長男もアトピーに悩まされた。処方されたステロイド剤でその時は良くなるが、根本的な解決にはならない。調べていくうちに「薬に頼らず食べ物で体質改善し、内側からしっかり治したい」という思いが強くなった。
まずは自分の家族の食と健康を守ろうと一念発起し、NPO法人「日本食育協会」が認定する「上級食育指導士」の資格を取得。日々の食事に気を付け、「毎日食べたもので体が作られていく」ことを実感した。この体験や知識を、子どもを持つ多くの母親たちに伝えたい。友人たちを集めてみそ造りやおかずの作り方をシェアすることから始めた。
続いて和食の基本、だしを学び「だしソムリエ」の資格も取得。かつては貧血や妊娠中毒症で苦しんだ出産も「次女の時は貧血もなく、お産がびっくりするほど楽で感動した」という変化もあった。

安心な居場所に子ども同伴でも

次に取り組みたいと思ったのが「おせち」だ。実家には手作りの習慣がなく、買って済ませていたが、自身の食の好みが変わり受け付けないように。では手作りで、と取り組んでみたものの、赤ちゃんの次女をおんぶしながらで、本当に大変だったという。
「それなら共同で手分けしておせちを作ってはどうか」と発想を転換。「興味はあるけど1人では敷居が高い」という人にも喜んでもらえ、共に作ることで団結心も芽生える、楽しい年末の一大イベントになった。
4年前からスタジオママルに会場を移し、コロナ対策を講じながら毎年開催。これまでに延べ80家族がおせちをシェアした。リピーターもいる。当日は、だて巻き、黒豆、栗きんとんなど、定番の6品を古幡さんのオリジナルレシピで作り、分けて持ち帰る。
古幡さんの料理教室には、子どもを同伴できる。「自分が子育てに苦労し孤独を感じた時、人とのつながりに救われた。母親たちの安心な居場所になれば」との思いも込める。今後は「同じ思いで、あいのりおせちを広めてくれる人が増えていけば」と、リーダーの養成も検討中だ。
参加費1万3500円(ランチ、持ち帰り6品、容器付き)。詳細は「スタジオママル」の = ウェブサイト=で。