奥原國乘さんが国重文・菩薩半跏像に迫る著書出版

松川村の光学機器開発会社会長の奥原國乘(くにのり)さん(72)は、自身が研究する観松院(同村)所有の国重要文化財「銅造菩薩半跏(ぼさつはんか)像」の謎めいた由来に迫るなどした著書「天智天皇の皇胤(こういん)と弥勒(みろく)像─観松院弥勒菩薩の来歴」を、ほおずき書籍(長野市)から出した。
像は高さ30センチ。後に奈良国立博物館長を務めた故・倉田文作さんによる戦後の調査で、美術的、歴史的価値が判明。1982(昭和57)年に国重文に指定された。百済(古代の朝鮮半島にあった国家)からの渡来仏と考えられるが、もたらされた経緯は判明していない。
奥原さんは、趣味で30年来歴史研究に励み、観松院護持会に依頼され、村商工会長だった2012年に同像の研究会を発足。会長を務める。
著書は、地元に伝わる歴史書「仁科濫觴(らんしょう)記」を読み解くなどして執筆。像は乙巳(いっし)の変(645年)に勝った中大兄皇子(後の天智天皇)の手に渡った後、公にできない幼い皇子に身分の証しとなる念持仏(小型の携帯仏像)として持たせ、この地にたどり着いたのでは─と記している。
奥原さんは「地域の人が地元文化財の背景を知り、子どもたちが誇りに思ってもらえたらいい」と話す。
四六判、273ページ。2200円。大町市の塩原書店などで扱っている。像の拝観は村教育委員会を通じて20日前までに申し込む。