「地域映画」作り信大生9人が活動に参加

8ミリフィルム発掘来年2月公開

昭和期に松本市内で撮影された8ミリフィルムを発掘し、松本の「地域映画」作りに取り組む市民団体「まつもとフィルムコモンズ」(早川夏代表、約20人)の活動に、信州大の人文学部芸術コミュニケーション分野などの学生9人が参加している。「人と人とのつながりが、新しい何かを生み出す」ことを学んでいる。

市民の記憶を記録

8ミリフィルムとカメラは、1960年代半ば~80年代半ばに普及し、多くの市民が日常を記録した。団体は市民が寄せたフィルムをデジタル化し、全国各地の「地域映画」を作る市内の映像作家・三好大輔さん(50、清水1)が監督を務め、編集や音入れなどをして映画にする。
学生らは指導教官と三好さんの縁で、5月下旬から活動に参加。主にフィルムをきれいにしたり、映像を確認したりしているほか、個人宅に眠るフィルム探しや、映写会の運営もしてきた。

人文学部3年の杉江夏実さん(21)は11月下旬、フィルム提供者と家族へのインタビューに挑戦。三好さんと一緒に二俣孝さん(77、里山辺)宅を訪れた。杉江さんは事前に、二俣さんが持ち込んだ13本のフィルムを、30分の映像に編集。二俣さん夫婦と娘夫婦の4人が、映像を見ながら思い出を語り合い、その様子を三好さんが撮影した。
杉江さんは進行役。一家が「お母さん、こんなに野沢菜漬けてたの?」などと盛り上がる中、杉江さんが会話を邪魔しないように時折質問を挟む。
映像を見て「希望を持っている時は、いい顔をしているなあ」とつぶやく孝さんと、大笑いする家族。「フィルムを見ていると、故郷の宮崎のことを思う。それはたぶん、カメラを回しているお父さん(撮影者)の愛情が、映像から伝わってくるから」と杉江さん。

「松本市歌」を再現

人文学部3年の齊藤千夏さん(21、安曇野市)は所属するゼミの課題で、1940(昭和15)年に発表されたものの、歌われた期間が短かった「松本市歌」について調べ、作曲者直筆の譜面が見つかった。この歌を「地域映画で使おう」と、担当する音楽家と協力して再現した。
地域映画に携わったことで、忘れられた歌を市民にお披露目し、後世にも残せることになったといい、「歌を聞いた人の記憶もよみがえり、語り継がれるはず。学内にとどまっていたら、こうはならなかった」と齊藤さん。
完成した映画は、来年2月25、26日に公開される(詳細はホームページ)。杉江さんと齊藤さんは「変わったものだけでなく、変わらないものにも気づけるのが地域映画。上映会にぜひ足を運んでほしい」と呼びかける。